平成5年のJリーグ発足以来,僕は地元の名古屋グランパスを応援してきた。一時期はそのあまりの弱さに絶望していたが,アーセン・ベンゲル監督が指揮していた頃は頻繁に瑞穂陸上競技場に足を運んで熱狂していた。その後はまた僕の期待を裏切ることが多かったが,いまどきはストイコビッチ監督が良いチーム作りをしているようで,再び期待感をもって見ている。
監督に要求される資質・能力は,統率力と分析力の他に,何よりも負けず嫌いでなければならないと思う。その点,ストイコビッチ監督の負けず嫌いは半端ではなく,それは彼が現役時代に名古屋に来た時のプレーを見れば明らかである(審判からレッドカードを示されてよく退場していた。)。負けず嫌いであれば,次に負けるのが嫌だから対戦相手チームをよく分析するのは勿論,敗戦の原因を分析・反省し,同じ間違いをしないよう戦術の共通理解と決めごとを選手に徹底していくだろうからである。
そして,着任して初のシーズンであった今年,J1の18チーム中3位の成績を上げられたのも,監督として,負けず嫌いに裏打ちされたある程度の良い仕事ができたからではないだろうか。ドラガン・ストイコビッチといえば,名門レッドスター・ベオグラードで,デヤン・サビチェビッチらきら星のように輝く天才集団の中でも抜きん出た存在であった。1990年のワールドカップイタリア大会で旧ユーゴスラビアをベスト8に導いたのも彼であったといってもよい。時代は違うが,現在のグランパスの若手選手も監督の現役時代の凄さを知らない訳はなく,憧れに近い感情で監督の指示に従っているのではないだろうか(統率力の源泉)。
グランパスは,J2に降格決定したコンサドーレ札幌から24歳のダビというFWを獲得した。ゴーラー(点取り屋)の欲しいチームとしては良い補強ができたのではないか。あとは,大事なリーグ後半戦に引き分けばっかりで勝ち点3を加えられなかったり,1-2で柏レイソルに負けたりといった精神的に脆弱な面を改善していけば,来シーズンは期待できると思う。そう,監督は負けず嫌いでないと!