ちょっと前のブログで,マスターズの創設者といってもいいボビー・ジョーンズが,その自制心に富むプレー態度から「球聖」と呼ばれていることについて触れた。僕自身もゴルフをする際にはそのようなことを心掛けている。具体的には,同伴者を不愉快にさせることのように,遅いプレーで迷惑をかけないように,思い通りにならなくてもクラブなどの物に当たったりしないように・・・。
今田竜二という日本人選手がアメリカのプロゴルフツアーで結構活躍している。彼はブラウン管を通して見ていても,さわやかで清々しく,振る舞いも紳士的で好感が持てる。先の「アーノルド・パーマー招待」では3日目終了時点では3位に浮上していた(最終的には17位だったが。)。そのアーノルド・パーマーは若い頃,父親と一緒にラウンドしていた時,思い通りにならなくてクラブ(道具)に当たるという見苦しい振る舞いをし,父親から「もうゴルフを止めろ!」とこっぴどく怒られたことがあったという。それ以降,そしてプロになってからのパーマーの紳士的なプレーぶりはよく知られている。
テレビを見ていても,僕が密かに応援しているのは,喜怒哀楽を露骨に表情に表すことはせず,絶対に道具に当たったりはせず,自制心に富むプレーをしている選手で,例えば,フィル・ミケルソン,レティーフ・グーセン,パドレグ・ハリントンなどである。
また,ゴルフはスコアを自己申告するスポーツであり,各プレーヤーが正直に自らのスコアを申告することで成立している。以前,4,5回一緒にプレーすることがあったHRさんという人のことを今も思い出す。あるゴルフ場でHRさんと一緒に回り,パー4のホールをプレーしていた。彼は,第2打がグリーンに乗らず,3打目を深めのラフからグリーンに乗せ,ツーパットでホールアウトした。僕はてっきりHRさんのスコアは5だと思ったのだが,彼は「7」と申告したのだ。理由を尋ねたら,深いラフから第3打目を打った際,ボールがクラブフェイスに二度当たったというのだ。深いラフからのことだし,これは傍目には全く分からず,本人の手応えでしか知り得ないことなのである。いわゆる「二度打ち」。それで2打罰を加えて「7」。ルール上は当たり前のことであるし,そのように自己申告をするのが当たり前ではある。HRさんのプレーは自制心に富んでいるとかねがね思っていたが,改めてゴルフは紳士のスポーツだと感じたし,紳士的に振る舞わなければならないと思った。今でも,HRさんのプレー態度を模範にしている。