「ぜんまいざむらい」に登場するなめざえもんについて,少しばかり思うところがあったので,考察してみたい。なめざえもんという存在は,ぜんまいざむらい,ひいては視聴者にとっては嫌な奴という側面は確かにある。
思いつくままにその嫌な奴の側面を指摘してみると・・・・例えば,ぜんまいざむらいが好意を寄せるずきんちゃんをめぐっては,恋敵である。ぜんまいざむらいがずきんちゃんと仲良くすると,嫉妬心を露わにする。時にはずきんちゃんに強引にキスしようとするなど,セクハラまがいのこともする。小判を連ねた小判剣を振りかざし,お金にものをいわせる体質。「にょほほ」というかんに障る笑い。ずきんちゃんを「やぐら寿司」に誘った時に,ぜんまいざむらいや豆丸を「招かれざる客」みたいにぞんざいに扱い,嫌みを言う。ずきんちゃんのためとはいえ,お菓子を買い求めようと人が行列をして待っているのに,お金にものをいわせてお菓子を買い占める・・・・・などなど。
しかし,よくよくなめざえもんのことを観察していると,結構いい奴である。「・・・・でシュタイン」の原賀ゲンナリが,できそこないの「頭のよくなる機械」を発明してこれをぜんまいざむらいに試し,一時的にぜんまいざむらいを記憶喪失にしてしまったことがある。それを見たなめざえもんは心からぜんまいざむらいのことを心配し,目から洪水のように涙を流し,ぜん様の記憶が蘇るように必死の努力をしてくれたのだ。なめざえもんの涙に,僕も朝っぱらからもらい泣きをしたくらいである(笑)。
そうです。なめざえもんは結構いい奴なんです。普段でも,ずきんちゃん自身がなめざえもんと一緒に町内を歩いているシーンが散見されるということは,ずきんちゃんもそれなりになめざえもんの良さは認めているということでしょうか・・・。なめざえもんの存在自体からも判るように,欠点が目立つ人間でもどこかに長所や美点があるものです。なめざえもんがそのことをあらためて教えてくれました。