昨日だけで法律相談を6件もこなし,さらに2件の打合せも無事に終えた。疲れたーっ・・・。昨夕家に帰り,疲れた体をソファに横たえ,美味しそうな炊き込みご飯が炊きあがるのを待っている間,何気なく新聞のテレビ欄に目をやった。
そしたら,NHK衛星第2で,実は昨日の午後1時から「道」という映画が放送されていたようだ。そう,フェデリコ・フェリーニの「道」という映画だ。何て懐かしい映画だろう。観たかったなぁ・・・。この映画が初めて上映された当時はまだ僕は生まれていなかったが,大学生時代に初めてこの映画を見たときは本当に切ない思いがした。無骨な大道芸人ザンパノ役に名優アンソニー・クイン,頭は良くないが本当に素直な性格の女ジェルソミーナ役にジュリエッタ・マシーナ。それぞれが好演していた。
ジェルソミーナも食べていかなければならず,ザンパノの大道芸の手伝いとして旅を続けていた。しかし,ザンパノが激情の末の殺人(法的には傷害致死だと思うが)を犯してからはジェルソミーナが精神を病んでしまい,ザンパノとしては彼女のことが好きであったものの重荷になってしまったため,やむなく彼女を捨てて行ってしまう(確か,彼女が寝ている間に)。それからかなりの時が経過した後,ザンパノは旅先で,ジェルソミーナが精神を病んだまま死んでしまった事実を人から聞かされる。その日の夜,ザンパノはジェルソミーナの死を悲しみ,砂浜でさめざめと男泣きする・・・・・・・・。およそその人生の中で泣いたことがあるのかと思うほどの無骨な男が,夜の浜辺で嗚咽するのである。
叙情的で切ない映画だった。ジュリエッタ・マシーナは決して美人ではないが,人に癒しを与え,何故かしら強く印象に残る女優である。ご存じのとおり,フェデリコ・フェリーニの配偶者でもある。フェリーニの映画は,その後も,「カビリアの夜」,「甘い生活」,「8 2/1」,「女の都」,「カサノバ」,「そして船は行く」などを観た。本当に独特の世界である。その後の僕の人生に影響を与えるというほどではないものの,映画の面白さを十分に堪能することはできる。特に「そして船は行く」という映画を観た直後は,「あぁ,これが映画というものなんだなあ。」と感じた。あっ,それから,今となってははっきりとその顔を思い出せないが,今から約25年ほど前に観た「女の都」に出てくるドナテッラ・ダミアーニという女優がとても魅力的だったということは,どういう訳だか今も覚えている(笑)。