僕が中学1,2年生のころ,まだ柄にもなくピアノを習っていた当時,しのつく雨の日の朝によく思っていたことがある。それは,こういう日は学校には行かずに,一日中雨を眺めながらピアノを弾いていたいなということだった。怠惰な性分だったのかしらん。結局,しのつく雨の日といえども,学校をずる休みしてそういう大それたことを実行したことはなかったが・・・。
こういうことは,実は今でも思うことがある。仕事を休んで,雨を眺めながらピアノをぼちぼち弾いていたいなという願望である。どういう訳か雨を見るとそういう願望が芽生えてしまうのである。しかし,これも未だに実行に移したことはない。でも,今度こそ一度やってやろうかなと目論んでいる。
先日,家で晩酌をした後,夜の雨の音を聞いていたら,急に久しぶりにピアノが弾いてみたくなった。いわゆる酔っぱらい演奏というやつである(サイレント機能が付いているのでご近所には全く迷惑は掛けていない)。途中で,以前から弾けたらいいなと思っていたバッハのフランス組曲第5番のアルマンドに挑戦してみた。第5番の冒頭の短い曲である。これは大変好きで佳い曲である。この曲は聴いている分にはそれほど難しくはない曲のように感じるのだが,実際に弾いてみるとこれが結構難しい。ピアノの上級者だったら初見であらかた弾いてしまうのだろうが,僕の実力では到底無理である。楽譜の中の掛留音を弾きこなすのが苦手である。でも,掛留音に苦手意識をもっていたのでは,バッハの曲を弾くのは容易ではないであろう。何とかこれに慣れて,克服しなければ。
まあそれでも,このフランス組曲第5番のアルマンドだって,雨の日の一日があれば,さすがの僕もマスターできるのかもしれない。