衆議院議員総選挙が終わった。民主党が308議席を獲得し,自由民主党が大敗を喫した。日本の政治状況もこれで1955年以来の体制が完全に崩壊した。
たかが弁護士のブログの中であまり政治的なことは書きたくないが,今日はほんの少しだけ書いてみたい。本来ならば,国民の審判が下され,新たな政権の担い手が決まった訳だから,大いなる期待と支持をすべきなのかもしれないが,残念ながらそういう気にはなれないのである。何かしら今回の選挙は,とにかく一度政権交代させてみようということが自己目的化されているようでならず,実は本当に重要なのは,その政権の担い手が今後どのような政策を実現していくのか,今後どのような法案を通していくのかという点だと思うのである。先にも述べたように,本来ならば大いなる期待と支持をすべきところ,僕の底意地の悪さが頭をもたげ,「どこまでもつかお手並み拝見だ」などといった了見なのである。正直言うとね・・・。
民主党は今回のマニフェストには記載しなかった項目で,従前から政策集には明記していた諸項目については今後どうするのであろうか。それらの諸項目の中には,実際に法案化され,連立与党により衆議院で3分の2以上の多数で再可決されてしまっては困るようなものが多く存在する。それだけはやめて欲しいというようなものが。それに俗耳に入りやすい政権公約に関する具体的財源をどう確保するのか不安はあるし,本当に必要な予算まで削られたらどうしよう。それに民主党がマニフェストに明記している「東アジア共同体」というのは一体どんなものなのだろうか,想像もできない。あぁ,それに今回の選挙を経て無数の小沢チルドレンも誕生するであろう。
まぁ,これは大きな地殻変動であるし,ときの声かもしれない。自由民主党の中の変な人を除外してまともな人だけが核になり,これに寄り合い所帯の民主党の中の極めてまっとうな人だけが集まって,政権の受け皿になり得る,ちゃんとした政党が結成されればいいなと思う(いわゆる政界再編)。それにしても静岡7区で当選した城内実氏はあっぱれであるし,こういう定見があり見識があり,根性のある代議士の誕生を望んでいる。岡山の平沼赳夫氏,福井の稲田朋美氏,岐阜の古屋圭司氏,東京の下村博文氏らも同様に期待しており,今回の当選は誠に喜ばしい。
今回の選挙結果を目の当たりにして,思わず思い浮かんだ言葉が「是非に及ばず」である。死の直前にこの言葉を述べた織田信長のように何も謀反を起こされた訳ではないが,何故かしらこの言葉が頭に浮かんだのである。