鳩山由紀夫という人の言葉や行動の軽さ,国益という視点の欠如については,もう今さら言うまでもないだろう。こういう人をわが日本国の首相にいただかざるを得ない国民の不幸を嘆くべきであるし,国民はその不明を恥じるべきである。
米軍海兵隊普天間基地移設問題については,新聞報道によると,政府としては,①名護市にまたがる米軍キャンプ・シュワブ陸上部案,②うるま市にある米軍ホワイトビーチ沖の埋め立て案,そしてこの2案に県外への訓練移転などを組み合わせる移設案を,既にアメリカ側と沖縄県に伝えている。しかしことここに至っても,この鳩山という人は,「極力,県外に移設させる道筋を考えてまいりたい」などとリップサービスをしている。アメリカなどに既に伝えている政府案の2案そのものが既に県外を放棄しているのにである。何を考えているのであろうか。
郵政改革法案の「最終案」の内容についても,テレビで亀井大臣と菅大臣とが水掛け論を展開し,見苦しいことこの上ない。「閣」分裂と言われているくらいである。鳩山由紀夫という人のリーダーシップ(指導力)の無さは度し難い水準に達している。リーダーシップをこれから発揮していくと言ったって,もともとそれがない人ならば発揮のしようがない訳であり,無い物ねだりである。そもそもこの人は,「国というものがなんだかよくわからないのですが」と述べている。それが正直なところなのだろうし,国益という観点が見事に欠如しているのである。
鳩山という人は,3月末までには普天間基地移設問題の政府案を確定したいと述べているし,これから最終期限の5月末に向けて本当はとても大切な時期なのである。旅行は確かに静養にはなるし,英気を養うことはできるが,この時期に夫婦で千葉県鴨川市のリゾートホテルへ一泊旅行に向かう神経が分からない。
「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」(若泉敬著,文藝春秋社)という本を知り,仕事の合間にこれを読みたいと思っている。この本に出てくる佐藤榮作元首相や若泉敬氏の国益とは何かという自問自答,苦悩は途方もなく深い。佐藤元首相と今の鳩山という人とは,そもそも次元が違い過ぎる。