先週の土曜日の夜は家族とカラオケに行った。僕の場合はいつもそうなのだが,最初の曲を入れるまでに相当の時間がかかる。微妙に緊張しているのである。今日は上手く歌えるだろうかと・・・。一曲目を入れるのを躊躇しているうち,前の人が選曲した履歴があったのでこれを見てみると,何と,「君が代」と「仰げば尊し」があるではないか。こういう曲をカラオケで歌う人がいるんだ。勇気百倍,早速「仰げば尊し」を入れて歌ってみた。この曲はこのブログでも書いたとおり,名曲中の名曲だと思っている。
でもこの「仰げば尊し」の歌詞に感動しながら歌っていたら,不覚にも涙目になってしまった。画面はアニメーションだったが,老教師と生徒の卒業までの様々なシーンが連続し,最後は老教師を囲んで生徒全員が号泣するというシーンを目にしたからである。なお,涙目になりながらも歌自体は比較的上手く歌えた。一曲目を歌ってしまうと,度胸がついてあとは止まらない。ちょうどサッカーでいうと,ピッチに出たてのころは緊張しているが,最初のボールが来てファーストタッチを終えたら緊張が解けるというようなものだ。
「仰げば尊し」の中に「我が師の恩」という歌詞があるが,昨晩何気なくテレビのチャンネルを回していたら,ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英博士が出演していた。砂糖問屋を営んでいた父親は,益川さんの大学進学に猛烈に反対し,母親の取りなしで何とか地元の大学を一回だけ受験することを許されたそうだ。そんな中で益川さんは名古屋大学理学部に進んだ。益川さんの恩師は「坂田モデル」で有名な坂田昌一博士(湯川秀樹博士,朝永振一郎博士と並び称される物理学者)であり,益川さんが生前の坂田博士から受けた恩を熱く語るとき,また生前に録音された坂田博士の肉声を聞くときなどは,本当に深い恩に感謝されている雰囲気が伝わってきた。
民主党が政治ショー化している事業仕分け。無駄遣いカットという面で一部正しい側面もあるが,問題は仕分けする人たちの資質・能力と,仕分け内容の適切さだ。益川博士は,「現状の研究成果は数十年ほど経過して初めて評価される。」,「限られた資源のなかで,役に立つ科学・分かりやすい科学・大学の外で市場原理のもとで成り立つ科学などが研究費の餌場として雪崩れ込んでいる。」と指摘され,日本の基礎科学への研究費配分が不十分であり,大学の基礎科学が危ないと警鐘を鳴らされている。再三述べるように,資源の少ない日本は人こそ資源であり,人材育成こそが重要である。そのためには,「子ども手当て」,「高校授業料無償化」などのバラマキではなく,もっと有効でメリハリの利いた予算配分にすべきであろう。