恐らく雑誌だったと思うけど,そこに掲載されていた書評を読んで「日韓がタブーにする半島の歴史」(室谷克実著,新潮新書)という本を買った。これはとても説得力のある本だった。せいぜい200ページくらいの本だったが,古書の研究に立脚した論述であり,ある意味では目からウロコが落ちた。具体的にどんな内容の本なのかを紹介するには,この本の表紙カバー内側の次のような記載が最も端的であろう。
「古代日本は朝鮮半島から稲作などの先進文化を学び、国を発展させてきた-という〈定説〉は大嘘である。半島最古の正史『三国史記』には、新羅の基礎を造ったのは倭人・倭種、中国の『隋書』には、新羅も百済も倭国を文化大国として敬仰していたと明記されているのだ。日韓古代史の「常識」に異議を唱え、韓国の偏狭な対日ナショナリズムと、日本のあまりに自虐的な歴史観に歪められた、半島史の新常識を提示する。」
この本の意義と内容を要約すると以上のようなことになろう。実はこの本の元原稿の段階では本で掲載されたものの2倍ほどの量に及んでいたということだ。そこにはもっと古書の原典からの引用が豊富で,説得的な論述が展開されていたのだろう。
昨年の12月,当時民主党の幹事長だった小沢一郎は,中国の胡錦涛主席と会談した際には「こちらのお国(中国)に例えれば、解放の戦いはまだ済んでいない。来年7月に最終の決戦がある。人民解放軍でいえば、野戦の軍司令官として頑張っている。」などと恥ずかしくなるような迎合をしているし,その直後に訪れた韓国では,ある大学で江上波夫という学者の騎馬民族征服説を韓国人に披露してここでも迎合をしている。情けないというか,恥ずかしいというか,その容貌どおり醜悪である。
本来歴史学ないし歴史というものは,遺跡や古書などに基づいて史実そのものを客観的に研究する学問分野だと思うのだが,中国では特に近現代史,韓国では全般にわたって,史実そのものというよりも,政治や願望になってしまっている。そうしなければもたないような体制や民族意識なのかもしれない。さきほど紹介した本は,朝鮮半島の歴史を学ぶに当たっては,一読に値すると思う。古書の研究に立脚し,論述が説得的だからである。