きのうの参議院議員選挙には僕も投票に行った。危機感を感じていたからである。選挙告示後は,さすがに僕もこのブログで政治的な意見をガンガン言うのは差し控えてきた。でも今度の選挙が極めて重要な意味を持っているということだけは言いたかった。
というのも,今回の参議院議員選挙が終わると,参議院議員の次の改選期まではあと3年ある。衆議院議員はというと,任期が4年で昨年夏に選挙が行われたばかりだから,国民に信を問うべき「政局」でも現れない限りはあと3年程度は衆議院議員選挙がない。3年というと,民主党という危険な政権与党が,議員立法であれ政府提出法案であれ,国民生活に直結するような重要な法案を成立させ,制度化していく十分な期間となる。それがとても恐かったのである。
奥歯にものがはさまったような言い方はやめて,はっきり言うと,永住外国人地方参政権付与法案,選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案,人権侵害救済機関設置法案の3つについて,民主党内では法案の提出が予定されていたのであり,これらが成立してしまえば由々しき事態になってしまう。選挙前何よりも僕が不納得だったのは,民主党という政党は,これらの法案提出ないし準備を積極的にすすめ(地方参政権付与法案にいたってはこれまで15回にわたって実際に法案提出をしてきた),現担当大臣やその政党の上層部が積極論者であるにもかかわらず,そして現に法案提出を推進しているにもかかわらず,ことさら今回の選挙用のマニフェストから「除外」しているということである。票が逃げたり,国民的な議論,争点になることを恐れてとしか言いようがない。卑怯である。武士道精神に反する(笑)。
いや,笑い事ではない。ジョン・レノンの「イマジン」ではないけど,こういった法案がことごとく通り,制度化されてしまった後のこの日本の姿を「想像してごらん」。戸籍制度や家族が崩れ,地方公共団体によっては日本の国益に反する事態が発生し,「人権侵害救済」の美名の下に正当な言論が抑圧され,もはや国の体を為さないような状況になってしまう。
とりあえず,改選・非改選を含め,参議院では民主党系が110議席,自由民主党を中心とした野党系は132議席となったことは評価できる。まずは民主党単独で過半数などといった由々しき事態が回避できたことは何よりだ。でも,132議席の中には公明党,共産党,社民党などといった政党の議員も含まれている。したがって,日本という国を内側から解体してしまう,先ほどのような3つの法案が提出された時にはまだまだ予断を許さない。それにしても,民主党に厳しい結果となった今回の有権者の投票行動は何が要因となったのであろうか。菅氏が消費税に言及したからであろうか,それとも民主党という政党の危うさにやっと気づいたからであろうか。もしも消費税増税はいかなる意味でも絶対にイヤ,でも「子ども手当」は満額ちょうだいというのだったら,もうこの国はダメだ。もしそういうことなら,今の日本はローマ帝国が「パンとサーカス」で滅んでしまったのと似ているからである。