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弁護士ブログ

2010/10/13

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 今年のノーベル化学賞の受賞者3人のうち,2人は日本人であり,北海道大学名誉教授の鈴木章さん,アメリカのパデュー大学の根岸英一さんである。パラジウムを触媒とする「クロスカップリング」と呼ばれる有機合成法の開発という業績が認められてのことである。誠に素晴らしい。僕なんかは全く無関係ではあるが,やはり同じ日本人として誇らしい気持ちになる。

 

 毎度同じことを言うようで恐縮だが,鉱物資源などがほとんどないこの日本,人材こそが貴重な資源であり,十分な基礎研究の上に立った応用力を生かし,付加価値の高いものを作り上げていくしかないのである。それにはちゃんとした教育と,研究基盤の確立,サポートを図っていく必要がある。

 

 民主党政権は,「子ども手当て」などの壮大なバラマキ政策のために,やみくもな事業仕分けを敢行し,はたまた「政策コンテスト」なるものを企画して自らの無為無策をさらし続けている。行政刷新相とやらの蓮舫なる人物は,スーパーコンピュータなどの開発について「一番じゃなきゃダメですか?」などといった愚かな発言をして批判され,これを逆手にとって同名の本まで出版している俗物である。受賞者である鈴木章名誉教授は「日本の科学技術力は非常にレベルが高く、今後も維持していかなければならない。・・・研究は1番でないといけない。〝2番ではどうか〟などというのは愚問。このようなことを言う人は科学や技術を全く知らない人の言葉だ。」と厳しく批判している。

 

 また,全国32の国立大学理学部長で作る会議が,10月8日,ノーベル賞につながるような基礎研究費の確保が難しくなっているとして,予算への理解を求める緊急声明を発表している。民主党政権における来年度予算の概算要求で,科学研究費補助金や大学への交付金の一部が「政策コンテスト」を経て決まる特別枠に盛り込まれたことで,「予算が認められなければ研究費の大幅削減になる」と危機感を表明している。そもそもノーベル賞を受賞した鈴木名誉教授も,その業績について,最初から応用を意図した訳ではなく,好奇心に基づいて成し遂げた基礎研究の成果だと指摘されている。基礎研究こそが大事なのであり,民主党政権下ではその基礎研究費の確保すら危うくなっている。

 

 何もノーベル賞の受賞が最終目的などではない。あくまでも鉱物資源などに乏しいこの日本の生きる道は,人材こそが貴重な資源であり,十分な基礎研究の上に立った応用力を生かし,付加価値の高いものを作り上げていくしかない。それにはやはりちゃんとした教育と,研究基盤の確立,サポートを図っていく必要があり,それがなければ日本の学術研究は空洞化してしまう。人材の海外流出もくい止められないであろう。民主党なる政権は,「子供手当て」などをはじめとするバラマキ政策の「有言実行」のために,このような教育費用,研究費用,はたまた防衛費までをも削り続けていくのであろうか。

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