最近の読売新聞の報道によると,菅内閣の支持率は35%,不支持率は55%であるという。この状況下にあっても,未だに35%の人々が支持しているという事態が全く信じられない。菅直人という人の近頃を見ていると,もう,いっぱいいっぱいなのであろう。この人は市民運動家であり,それ以上でもそれ以下でもなく,一国の宰相としての資質・能力には明らかに欠けている。ただ少しでも長く総理大臣でいたいだけの人間である。
この人は対中国との関係に言及する時,バカの一つ覚えのように,「戦略的互恵関係」を維持,発展させていくと繰り返している。では逆にこの人に対し,「じゃ,中国との戦略的互恵関係とはいったい何を意味するのですか?」と改めて問うた時,ちっとも説明できないのではないかと思う。今の菅内閣のどこに戦略というものがあるのだろうか。尖閣諸島に対する紛れもない日本の領有権が中国によって不当に脅かされている局面で,どこに互恵関係というものがあるのだろうか。
この人は,恥ずかしげもなく「官邸に情報が集まらない」などと愚痴をこぼしているが,こんなことを諸外国の要人や諜報機関が耳にしたら,ほくそ笑んだりあきれかえったりするだろう。「政治主導」などと大見得を切ったものの,実際には官僚やその有する情報をうまく使いこなせず,副大臣や政務官らとともに,情報や人脈,戦略から隔絶している。さらに悪いのは,傲岸不遜の確信的反日左翼である仙谷なる人間に官邸を牛耳られ,ことごとく国益を害していることである。この男は,国会の答弁で「日本の中国への属国化は今に始まったことではない」などと信じがたいことを平気で述べているのである。これまた,政府要人が国会でこんな答弁をしている事実を諸外国の首脳が耳にしたら,もう日本なんか相手にしないであろう。こんな連中が日本の政権の中枢に巣くっているのである・・・。もういいかげんに,日本は普通でまともな国にならなければならない。異常な事態に長く置かれていると,異常な事態が普通となってしまい,本来あるべき正常な状況が忘れ去られてしまうのである。
尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件における映像が漏洩した件について,この政権は犯人捜しや原因究明を最優先としている。一般論として,機密管理は強化すべきであるが,少なくとも中国漁船衝突事件における映像が漏洩した件については,犯人捜しや原因究明だけの問題に矮小化してはならない。真実を正確に伝える映像そのものをひたすら国民の目から隠そうとしたその行動こそ責められるべきである。事件の初期段階において広く公開すべきであったのである。それでこそ日本の正当性が全世界に説得力をもって示すことができたのだし,中国がとった一連の措置(レアアースの輸出制限,邦人社員を人質に取るかのような身柄拘束,謝罪と賠償要求などなど)の不当性を満天下に主張することができたのである。今頃映像が流出しても,編集されていたり,中国からは偽造だなどといちゃもんをつけられたりで,公開自体が遅きに失しているのである。中国は臆面もなく,恥も外聞もなく,欧米や日本の大使にノーベル平和賞の授賞式に出席しないように圧力をかけている。中国とはそういう国なのである。ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン博士は,中国を「ならず者の経済大国」と表現している。
それにしても,今この日本を危殆に瀕する状態に陥れているこの救いようのない政権は,ただ「冷静に」という言葉を連発し,外交的に有効な手を何ら打つことなく,ただ嵐の過ぎるのを待つだけ,そして何が何でも首脳会談をセットしたいということに汲々としている。度し難く,国益を害すること底なしの政権である。