私はこれまで「メディア・リテラシー」という言葉は耳にしたことはあったが,その意味は理解していなかった。メディア・リテラシーとは,情報メディアを主体的に読み解いて必要な情報を引き出し,その真偽を見抜き,活用する能力だそうだ。
テレビや新聞などのマスメディアは,日々私たちに情報を提供してくれているが,それらを鵜呑みにしていると大変なことになる。いや,もう大変なことになってしまっているのではないかとも思える。NHK,TBS,テレビ朝日などの番組を見ていても,首をかしげてしまうことがとても多くなったし,朝日新聞や毎日新聞,地方紙などの記事でも同様である。特にTBSの日曜日の朝の番組などは,どのコメンテーターも日本という国が嫌いでしょうがないような,変なことばかり言っているんだもの(笑)。それに,本当は報道してしかるべき情報なのに,わざと報道しないという手法もある。新聞に至っては,まともな新聞は産経新聞だけのように思えてくるのである。
平成21年4月5日に放送された「NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー 第1回『アジアの〝一等国〟』」の内容は本当にひどかったし,インタビューに応じていた台湾の人々の供述内容は歪曲され,番組制作姿勢は極めて偏向していた。この問題については,今では訴訟沙汰になっているほどである(原告団は1万人を超えている)。
平成18年6月29日のTBSの「NEWS23」というニュース番組では,アメリカ下院議員のヘンリー・ハイド議員の「首相が靖国に行くべきではないと強く感じているわけではない」との発言を,あろうことか悪意をもって捏造し,「行くべきでないと強く思う」と訳した字幕を全国に流したのである(全国からの抗議を受けてTBSは謝罪したが)。
以上のようなことは枚挙にいとまがないほどである。「戦後レジームからの脱却」というごく当たり前で,今の日本に必要なスタンスを標榜した安倍晋三内閣の時のマスコミは,ヒステリックなほどの批判的な報道姿勢を示した。現在のマスメディアは,ごく一部の例外を除いて,相変わらず東京裁判史観,自虐史観,WGIPの呪縛のまま精神的な回復を達成できないでいる。情けないことである・・・。依然として「閉された言語空間」(江藤淳)の中にある。
それにしても,「メディア症候群-なぜ日本人は騙されているのか?-」(西村幸祐著,総和社)という本は力作である。これからの日本国民にとって,メディア・リテラシーがいかに重要であるかを,具体例を挙げて説得的に論述している。一度お読みになってみてはいかがでしょうか。