いつのことだったか,数日前の食後のひととき,うちのカミさんの携帯電話にメール着信の音が鳴った。どうやら彼女の高校時代からの友人で,主婦をしている仲間からのメールだったようで,その息子さんがこのたび希望の私立中学に合格したらしい。
その方には一度もお会いしたことはないが,以前からその方の名前は聞かされており,うちの娘のあかねちゃんより5つほど年下の男のお子さんがいらっしゃることも知っていた。そうか,その息子さんももう中学生になるんだな,早いものだと感じるとともに,その受験合格の吉報を嬉しく思った。
今も覚えているのだけれど,その方は,娘のあかねちゃんが誕生して間もなく,手作りのパッチワークの手芸品と,赤ちゃんでも片手で握ることのできる大きさの人形を贈ってくださった。どういう訳かそのことははっきりと覚えているのだ。うちのカミさんもその方も,結婚した時期はそれほど離れてはおらず,お互いに早く子供が欲しかったと思う。その方は一足先に子宝に恵まれたカミさんと生まれたばかりのあかねちゃんに,心のこもった贈り物をしてくれたのだ。そのパッチワークは,ファスナー付きのいくつかのポケットがちりばめられていてそれで子供が遊ぶことができるようになっており,心を込めて作られたことがありありと分かるのである。そのパッチワークの上で寝転がっているあかねちゃんの写真もある。また,それ以外にもさきほど述べた人形の贈り物もあった。人形といっても,クマさんか何かの動物で,その表情が何とも可愛かったのである。
その贈り物を目にした時,私は,ああ,この方はうちのカミさんの本当の友達なんだな,カミさんも心根の優しい良い友達をもって幸せ者だなと心から感じたものである。今でもそのことをはっきりと覚えている。それから約5年後,幸いにしてその方も子宝に恵まれ,もうそのお子さんが晴れて中学生となるのである。月日の経つのは早いものだ。一方,そのあかねちゃんも,来年の今頃は大学受験という修羅場を迎えることになる(笑)。
先日,カミさんの携帯に届いた真の友人からのメール。ちょっと遠い昔に感じたほのぼのとした感謝の念がその時よみがえってきたのである。