北方領土をめぐる最近のロシアの傍若無人で理不尽な対応は目に余るものがある。首脳が足を踏み入れたり,軍艦が接岸できる施設を完成したり,ミサイル配備を示唆したり,中国や韓国への投資を呼びかけたり・・・。中国はといえばこれまた相変わらず尖閣諸島沖で傍若無人で理不尽な行動を繰りかえしている。これら独裁的体質を有する国,一党独裁の国が傍若無人に行動しやすいのは明らかであるが,なぜこの時期にこれらの現象が次から次に起こったのか,その理由は明らかである。今の民主党政権の下では外交や安全保障が完全に機能不全に陥っており,この史上最低・最悪の政権は,中国やロシアに対して,今の日本に対しては「何でもあり」だ,何をやっても大事には至らない,やるなら今のうちだというメッセージを与えてしまっているからだと思う。
ただ,さる3月6日の日曜日の産経新聞の朝刊には,モスクワ支局長の佐藤貴生記者が書いた「『自由と繁栄の弧』を再び」というタイトルの記事が載っていたのだが,なかなか良い記事だった。その一部を引用すると,
「在露米国大使館は2月18日、『この問題での日本の立場を指示する。(北方領土の)島々への日本の主権を認める』と表明した。」
「その欧州議会も2005年、『ソ連により占領され、ロシアが現在占拠している北方領土の日本への返還』を求める決議を採択している。」
「一方、遠藤良介・モスクワ特派員がバルト三国のリトアニアでインタビューしたランズベルギス元最高会議議長は、『(北方領土返還を)要求する権利は日本にある』とした上で、『ロシアに対しては自らの尊厳をもって向き合わねばならない。小国には懲罰を受ける懸念からそれが難しいが、日本がロシアを恐れる理由は全くない』と語った。」
「世界を見渡せば、日本の味方はあちこちに存在する。問題は、その貴重な日本外交の『資源』を、領土返還の後ろ盾として活用し切れていないことにある。」
この北方領土問題は,まずは国民一人一人の意識と,ロシアの現在の実効支配は国際法上何の根拠もなく,北方四島は日本固有の領土である確かな理由・歴史を学習,理解することから始まり,その上で意識が高く,腰抜けの外務官僚を矯正,導いていくことのできる,そして相手国首脳,高官との太いパイプを築き,有効な外交を展開していくことのできる有能な国会議員を自分の手で選ぶしかない。ルーピー鳩山などに票を入れるなど,酔狂を演じている場合ではない。とにかく粘り強さをもって取り組んでいくことが必要である。先ほど引用した記事は我々に勇気を与えてくれるものではあるが,度し難い民主党政権が続く限り,日本という国は本当にどこからも相手にされなくなる。一刻も早く退場して欲しい。