バッハの教会カンタータ第22番「イエスは御許に十二弟子を招き寄せ」の第5番目(最終曲)のコラールは何と癒される曲なのでしょう。思わず何度も何度も繰りかえし聴いてしまいました。美しいメロディーの四声部からなる合唱(コラール)を支えているのは,特にオーボエと第1バイオリンで,このリズムとメロディーはどことなく人間の着実な歩みの様を彷彿とさせます。
このコラールの歌詞の中に,「起こし給えわれらを、御身の御恵みもって」(訳:松浦純)というのがあります。このような歌詞と,人間の着実な歩みの様を彷彿とさせリズムとメロディーを聴いていると,いったんは打ちのめされた人間が復興していくための勇気も与えられます。本当にバッハは佳い曲を作ってくれたものです。
ドイツは無条件降伏,日本はポツダム宣言の受諾をして終戦を迎えたのですが,辺り一面は無残な焼け野原,廃墟です。しかしながら,日本は終戦後わずか13年しか経っていない1968年にはGDP(国内総生産)で世界第2位になり,見事な復興を遂げています。またドイツも,焼け野原の数年後には世界のトップ3に入る復興を遂げました。4月8日付けのウォール・ストリート・ジャーナルのウェブサイトには,このたびの東日本大震災に寄せて,次のような記事を掲載されています。
「(ドイツの戦後復興の記事を受けて)日本人は深夜も働き続けたドイツ人によく似ている。社会における教育と愛国主義への重視も突出している。この国は土地が狭く、自然資源も乏しいのにこれほどの繁栄を成し遂げたのだ。だが、最も強大な資源は『日本人』という国民だ。彼らはほぼ全員が優れた教育を受け、目標を成し遂げようとする強い意志を持っている。常に革新の精神を持ち、心の底から国の盛衰興廃に関心を寄せているのだ。」
時の政権担当者の有能・無能の違いによって遅い・速いの違いがでてくるのは仕方ありませんが,東日本は必ず復興すると確信しています。