もういつの頃からだったか,我が家では,その日の夕飯の内容は朝食の席上で,父親である私が決めてきました。こんなことを言いますと,夕食内容の決定については私がスターリンや毛沢東のような冷徹な独裁者のようにも聞こえますが,実際にはそんなことはなくごく自然に歴史的に形成されてきた慣例のようなものですし,うちのカミさんも娘のあかねちゃんもむしろその方がいいようです。いつも自分ばかりが決めちゃ悪いかなと思ってフッてみても,結局は「お父さんが決めてよ。」ということになってしまうのです。
そんな訳でたいていはその日の夕食の内容は,「家族の総意」に基づいて私が希望を出して決まってしまうのですが,たまに自分の帰り道で,希望内容を急遽変更したいと言いますか,あぁ,しまった!と後悔することがあります。それは,徒歩帰宅の経路(その日の気分や信号の状況によってコロコロ変わります)にある肉屋さんの横を通り過ぎて,コロッケやミンチカツの良いにおいがしてきた時です。あぁ,無性にコロッケとミンチカツが食べたい,と思ってしまうのです。でもその時間に気づいても後の祭りなのです。カミさんはもう既に,私が朝食の席上で決定した夕食の準備をしているからです。
それにしても,割と空腹になっている帰宅途中にコロッケやミンチカツの良いにおいに出くわすと,たまりませんね。私はやったことはありませんが(笑),麻薬のようなものです。特にコロッケはごくシンプルなビーフコロッケ(衣も分厚くないやつ)が好きで,これにかけるソースは中濃ではダメです,ウスターソースでなければなりません!
首尾良く朝に希望をちゃんと述べ,夜の食卓にコロッケやミンチカツが並びますと(カミさんの機嫌の良いときなどはこれに加えて串カツまでが並ぶのであります),結局はこれらはお酒のおつまみになってしまい,ご飯はお茶漬けか何かでかき込みます。くれぐれも糖尿病にならないように気をつけたいと存じます(笑)。