いわゆるTPPの議論が喧しいです。あの野田という人,一見は誠実そうに対応しているようで,実は本当に独善的かつ無責任,不誠実,不勉強といわざるを得ません。こういう人でも首相がつとまる国って,いったい・・・。でも考えてみれば,鳩山由紀夫,菅直人と続いていたわけですから,今更驚くことはありませんか。でも本当に情けない。
11月11日には参議院でTPPの集中審議があり,自由民主党の佐藤ゆかり議員が質問に立ちました。佐藤議員は,いわゆるISD条項の危険性について質問したのです。前にもこのブログで触れましたが,ISD条項というのは,国が自分の国の公共の利益(例えば,環境の保全とか食の安全など)のために政策的に定めた法令などによって,海外の投資家が不利益を被った場合には(例えば,その法令の規制によってその投資家・企業の商売の一部ができなくなったなど),世界銀行の傘下にある「国際投資紛争解決センター」という第三者機関(仲裁機関)に訴えることができるという制度を定めた条項です。ところが,この機関の審査は非公開ですし,何でそのような結論が導かれたのかという理由部分が不透明であり,したがって個々の判断理由が先例的な価値を持たないがために予測不可能な点に大きな問題があります。また,さらに問題なのは,その審理は「その法令による規制,政策が投資家にどの程度の損害を与えたか」が重視され,「その国の公共の利益がどのようなものであったか(なぜそのような規制を定める必要があったか,それによりどのような利益が守られようとしていたのか)」は考慮されません。この毒素条項ともいうべきISD条項を含むTPPが成立してしまうと,それは批准を伴う条約であり,法形式間の効力でいうと,条約が国内法(法律)に優先するため,大変なことになってしまいます。かつてはこのISD条項によって,カナダもメキシコも酷い目に遭っております(笑)。
自由民主党の佐藤議員は,「TPPのISD条項によって国内法が曲げられてしまう恐れがあるのではないか」と述べて,野田という人にその問題性,危険性を質したところ,この人は何と,「国内法で対応出来るよう交渉していく」と答弁したのです(爆笑)。この頓珍漢な答弁で,審議は当然にストップしました。要するに,この野田という人は,効力面で条約が法律に優越することを理解していなかったばかりか,直後に自ら認めたように,ISD条項の意味すら理解していなかったのです。びっくりしたなぁ,もう(笑)。こういう人がAPECでTPP交渉参加を明言してしまうのです。さきほど私は,この野田という人のことを「一見は誠実そうに対応しているようで,実は本当に独善的かつ無責任,不誠実,不勉強といわざるを得ません。」と言ってしまいましたが,あながち嘘ではないでしょう?
ちなみに,「びっくりしなたぁ、もう。」というのは,昭和を代表するコメディアンだった三波伸介(初代)さんのギャグでした。私も昭和の人間ですから,思わず口をついてしまいました。