モーリス・ラヴェルの曲は,たまに無性に聴きたくなる時があるのですよ。彼の曲は,フランス音楽の中でも立派な小宇宙を構成していると思います。私は特に若い頃によく聴いたものです。
特に何度も何度もよく聴いたのは,ピアノ協奏曲ト長調とか,組曲「クープランの墓」とか,それと先日の娘の卒業式の時にも流れていた「逝ける王女のためのパヴァーヌ」とか,それとどういう訳かその独特の曲調が頭に残っている「道化師の朝の歌」などです。
ピアノ協奏曲ト長調は,最初は鞭の音から入る面白い曲だし,第2楽章の緩徐楽章の癒されるメロディー,そして第3楽章のフィナーレの素晴らしさ。このピアノ協奏曲ト長調とプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番とがカップリングされたドイツ・グラモフォンから出たレコード,演奏者はマルタ・アルゲリッチ(ピアノ),クラウディオ・アッバード指揮のベルリンフィルのやつです!これは名演だと思います。
その名ピアニストのマルタ・アルゲリッチ。美貌で,実力もあり,そして1980年のショパン国際コンクールの審査員をしていて,ユーゴスラヴィアのイーヴォ・ポゴレリチが本選出場に進出できなかった結論に強烈な不満を述べ,審査員を辞退したほどの信念の人です。その彼女が何と70歳になっているんですね。道理で私も歳をとるはずです(笑)。
さて,ラヴェルの組曲「クープランの墓」にしても,「道化師の朝の歌」にしても,そして「逝ける王女のためのパヴァーヌ」にしても,私は原曲のピアノではなく,管弦楽曲に編曲されたものの方が好きです。その方が雰囲気があります。若い頃にこの管弦楽編曲のものを聴いていた盤は,今はあまり覚えておりませんが,エルネスト・アンセルメ指揮のものか,あるいはシャルル・ミュンシュ指揮のものだったと思います。
今日,3月7日はラヴェルの誕生日なのです。