今,私自身,お仕事が相当に忙しいのです。年齢的なものが原因でしょうが,疲れが肉体面と精神面の両方にあります。できるだけ睡眠時間を確保したり,気の合った者同士で飲んだり,ゴルフをしたり,ヨハン・セバスティアン・バッハの音楽世界に浸ったりして,ストレスや疲れを解消するようにしております(笑)。
でも,先日あるテレビ番組を見て,つくづく自分も元気を出さなければと思いました。NHKのBSプレミアム放送の「新日本風土記」という番組で,6月17日(日)の午前5時から6時までの1時間,「東京下町 味わい春の旅」というタイトルの回の放送を見たのです。最近,朝の目覚めが早いもので・・・(笑)。
これはオムニバス形式の内容なのですが,そのうちの一つに,もう何十年も続けて千葉から電車で東京まで出て来て行商をしている蕨キクさんという87歳のおばあさんが紹介されておりました。千葉の自宅で野菜などを作り,またその他の惣菜などを作って,その体より大きくて重いのではないかとも思える荷物を背負って行商をするのです。何と,87歳ですよ!
その行商の品々の美味しそうなこと。蕨キクさんは,千葉から重い行商荷物を背負って,京成電鉄の八広駅(東京都墨田区)に到着し,まずはそこで首を長くして待っている馴染みのお客さんに売り(どのお客さんの表情を見ても,キクさんを心待ちにしている様子がうかがえます),その後は,知人に預けている割と小さなリヤカーを引いて,数十年来の下町の顧客先の所まで歩いて行商に行くのですよ。キクさんはもう腰が曲がってしまっているのですが,自分の体より大きいくらいの重い荷物を背負って,八広駅の急な階段を一歩一歩下りて来られる姿を見て,私は日曜日の早朝から感動し,そして勇気づけられました。自分も元気を出さなければと・・・。
キクさんはとても良い顔をされております。幾多の人生の苦難を乗り越えてこられた深い皺が刻まれております。私は,一時間でも二時間でも,キクさんが行商で売っていた草餅をお茶と一緒に食べながら,キクさんから人生についての示唆に富むお話しを聞かせてもらいたいと思いました。マスゴミ,いやマスコミにしょっちゅう出ているような無責任で軽薄なコメンテーターの話より数万倍は自分のためになるのではないかと思います。
NHKの作る政治的なものに関する番組や歴史的なものに関する番組には,本当に憤りを感じるような反日的な内容のものが多くあり,全く信用しておりませんが,この「新日本風土記」のような番組は大いに評価しております。「新日本風土記」という番組は,日本各地に残された美しい風土や祭り,暮らしや人々の営みを描く本格的な紀行ドキュメント番組です。また私は,時間的な余裕ができたら,柳田國男の民俗学や各地の風土記に接してみたいとも思っております。