昨日は自分の車で,ある警察署に被疑者接見に言ったのですが,車中ではバッハのブランデンブルク協奏曲を聴いていました。昨日聴いたのは第4番から第6番までですが,第6番の第3楽章を聴いていましたら,思わず古い昔にカミさんと一緒に行った沖縄旅行のことを懐かしく思い出しました。
この沖縄旅行というのは今から25年も前のことで,私達の新婚旅行だったのです。当時は二人とも公務員で薄給でした。この沖縄旅行では,現地でレンタカーを借りてあちこち移動したのですが,車内で聴く音楽は私が自前で録音したテープだったのです。その中にバッハのブランデンブルク協奏曲の第6番が含まれており,特にその第3楽章は何回も何回も繰り返して聴きました。この第3楽章というのは何よりもシンコペーションが特徴,そして魅力的でとにかく躍動感があるのです。
この曲を聴いて,今から25年も前のことを懐かしく思い出しました。25年ですか・・・初老という段階も過ぎようとしているのは当たり前です(笑)。躍動感という意味では,そして元気をもらうという意味では,ブランデンブルク協奏曲の第6番の第3楽章,第4番の第3楽章,第3番の第1楽章が特にオススメだと思います。ブランデンブルク協奏曲は全部で6曲ですが,その成立(作曲)の順番は,第6番,第3番,第1番,第2番,第4番,第5番の順だと言われています。このうち第6番と第3番は,ケーテン時代より前のヴァイマール時代に遡るとの説もあり,そうだとするとバッハが30歳前後の成立で,躍動感があるのも当然です。また第1番以降は,室内楽に精力的に取り組んでいたケーテン時代の成立でしょう。このケーテン時代の終わり頃にバッハは二番目の妻アンナ・マグダレーナと結婚するのですが,このケーテン時代におけるバッハの室内楽への集中ぶりは,「バッハの思い出」(アンナ・マグダレーナ・バッハ,山下肇訳,講談社学術文庫)という本の中でも「当然の権利でもあり豊かな成果をあげるべきはずの教会音楽との結びつきの機会に恵まれませんでした。しかし彼は、何事によらずそういうたちですが、ここでももう全身全霊をあげて室内楽に傾倒しました。」と記載されているくらいです(同著79頁)。
蛇足ですが,さきほど躍動感があり,元気がもらえるとしてオススメした3曲がありますが,この中でも第4番の第3楽章は,特に対位法の魅力がたっぷりで,とてもカッコいい曲であることも付け加えておきます。