昨夜のクライマックスシリーズの巨人対中日戦にはガッカリでした。0-1の場面で高橋由伸選手のタイムリーで同点に追いついた時まではお酒が美味かったし,さあいくぞという気分でしたが,それからがいけません。私は早々にテレビをやめて,おきまりのバッハの世界に没入しました。
ニコラウス・アーノンクール指揮,ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス,アーノルト・シェーンベルク合唱団によるバッハの「マニフィカト」その他の曲の収録されたDVDを味わいました。本当に素晴らしい。特に私は前々からしつこいまでに述べているのですが,バッハの教会カンタータ第147番「心と口と行いと生活で」が死ぬほど大好きなのです。それがこのDVDに収録されていて,「マニフィカト」と同様,昨夜も感動して目頭が熱くなりました。「だまされたと思って」という日本語がありますが,だまされたと思ってこの第147番のカンタータを聴いてください。このDVDを見ていても,いずれの演奏者も嬉々として演奏し,その表情を見ているだけで元気づけられます。アーノルト・シェーンベルク合唱団の中には,日本人のように見える4人ほどの女性も含まれています。
さて一夜明けて,今日の産経新聞の「正論」欄には,双日総合研究所副所長の吉崎達彦氏の投稿記事が掲載されており,売国的で亡国的な民主党政権による「原発ゼロ」政策について述べておられるのですが,正に正論で思わずその一部を引用してご紹介したい衝動に駆られました(笑)。冒頭の出だしが核心を突いているので,その部分を以下に引用しましょう。
「こんなアンケート調査があったら、あなたはどんなふうに回答するだろうか。『10年後のあなたの年収は、1000万円と500万円と300万円のうち、どれが一番いいでしょうか?』誰だって1000万円と答えるだろう。が、実際の世の中では、高い年収は必然的に激務やリスクを伴うものである。逆に、300万円の仕事は、気楽で安定しているかもしれない。その辺は常識の範囲内だが、アンケート調査の信頼性を高めるためには、付帯条件をすべて明記したうえで、希望年収を尋ねるべきであろう。ところが、野田佳彦政権は、『2030年の原発比率は0%と15%と20~25%のうち、どれがいいですか?』とだけ国民に問うた。この場合、『0%がいい』と答えるのは自然な人情であろう。あけすけにいえば、原発が好きな人なんて、よほどの変人以外にいるわけがないだろうし、何より『命には代えられない』という理由は重いのである。ただし、日本が『原発ゼロ』を方針とする場合,どんな付帯条件がつくか、を考えなければならない。」
ほんとうに,ほんとうに正にそのとおりでしょう。付帯条件として吉崎氏が挙げられるのは,そしてこれは他の識者も同じように指摘していることですが,原子力技術の維持困難・消滅,人材確保困難(原子力を学ぼうとする学生がいなくなる),営々として築き上げてきた日本の原子力技術の海外流出,エネルギー確保の不安定性とエネルギー安全保障面での脆弱性,発電コストの増加と各家庭の負担増,企業の経営圧迫と海外移転及びこれに伴う税収減などなど・・・。
こんな付帯条件も示さずに極めて安易なアンケートを実施し,人気取りのために「原発ゼロ」政策を推進している民主党政権に責任がとれるのでしょうか。とれる訳がありません。次の総選挙では泡沫政党に転落することは必定だからです(笑)。この政策を発表してからの彼らの迷走ぶりが,いかにこの「原発ゼロ」政策が確たる裏付けのないものであったかを示しております。現に,彼らはあれだけ力説していたのに,閣議決定を断念したではありませんか。