姉夫婦からお歳暮が届きました。今年は鮭でした。確かに冬にいただく鮭は美味しいですね。私がその句や境涯い高い関心をもっている孤高の俳人,井上井月も冬に次のような句を作っております。
「行く年や尾鰭(をひれ)も広き鮭の魚(いを)」
同じく井月の年の瀬らしい句としては,次のようなものもあります。
「売に来る薄塩物や初しぐれ」
「初冬や庵(いほ)のあたりを去らぬ鳥」
「朝市の昼へ持越す師走かな」
冬は割と生ものの保存も利きますから,塩は薄くてよいのでしょうね。鳥も寒いやら人恋しいのか,なかなか庵を去ろうとしません。正月用の食品や材料を買い込んでおかなければならないのでしょうか,朝市も延長して昼間で持ち越されます。いかにも年の瀬らしいですね。
さて,この年の瀬の総選挙はどうなるでしょうか。実は私,「第三極」と称されている勢力(日本未来の党やら日本維新の会などなど)には腹の底から怒っております(笑)。とにかく無責任です。ありとあらゆる面で無責任ですが,例えば「脱原発」,「卒原発」なる言葉とスローガンです。彼らは「脱原発」,「卒原発」に至るまでの工程表を具体的に示しているでしょうか。発電量,代替エネルギーの裏付けやコスト,消費者の負担する電力料金の額などについて,「脱原発」,「卒原発」に至るまでの経時的な試算を示しているでしょうか。そしてそれらは真に裏付けのあるものなのでしょうか。
彼らにとってはドイツなどは「脱原発」の先輩なのでしょうが,ドイツは成功していますか。電力料金は跳ね上がり,いわゆるクリーンエネルギーのコストも極めて高く,採算が合っておりませんし,国民も高額な電気料金の負担に押しつぶされそうになっております。何よりも,エネルギーだって安全保障が観念できる訳でして,エネルギー面での生殺与奪の権利を他国に握られてしまってもよいのでしょうか。
これまでに営々と築き上げてきた日本の原子力技術が海外に続々と流出し,日本から原子力技術がなくなってもよいのでしょうか。これらを学ぶ時代の学生らが人っ子一人いなくなってもよいのでしょうか。100%安全,絶対安全なんてことはないんです。でもそのような状況でもできるだけ努力してエネルギーを確保し,国民経済も維持発展させ,技術力を積み重ねていくしかないでしょう。政治家がやるべきことは,「脱原発」「卒原発」のシングルイシューではないはずです。物事は総合的に捉えられなければなりません。ただでさえ円高,デフレ経済にあえいでいる企業や国民は倍増する電気料金や代替エネルギー(化石燃料等)の購入代金を負担できるでしょうか。このままでは日本という国が足腰立たないくらいに疲弊してしまいます。
特に日本未来の党なんてのは,バックに小沢一郎という俗物がいますね。案の定,またまた子ども手当一人月額2万6000円というバラマキを公約しています。これに要する予算は約5兆3000億円であり,国の守りのための約4兆7000億円の防衛予算を超えております。彼らとしては,「脱原発」と「子ども手当」は絶対に票に結びつくぞ!今はこれでいくしかない,てなもんでしょう。無責任の極みです。本当に有権者もナメられたものです。