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2013/01/18

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 東京電力福島第一原子力発電所の現況については,原子炉と原子炉格納容器は現在も淡水が注入されていて,温度も圧力も良好,また,使用済み燃料プールも循環冷却が運転中でその温度も良好です。今でこそ,本当に今でこそ,原子炉等そのものは落ち着いておりますが,津浪直後に電源喪失という恐るべき事態が生じ,未曾有の原発事故が発生しようとする危機的な状況が実際にあった訳です。そのような極限状態で,吉田昌郎元所長以下,「決死隊」が事実上結成され,東電社員,自衛隊員,消防隊員,協力会社社員らが必死に奮闘努力した事実が忘れ去られようとしています。

 

 「死の淵を見た男-吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日」(門田隆将著,PHP)というノンフィクション物には感動しました。3,4回は嗚咽するように泣けてくる箇所がありました。

 

 「もう駄目かと何度も思いました。私たちの置かれた状況は、飛行機のコックピットで、計器もすべて見えなくなり、油圧も何もかも失った中で機体を着陸させようとしているようなものでした。現場で命を賭けて頑張った部下たちに、ただ頭が下がります。」(吉田昌郎元所長の発言)

 

 また,この本の「まえがき」には,「全電源喪失、注水不能、放射線量増加、そして水素爆発・・・あの時、刻々と伝えられた情報は、あまりに絶望的なものだった。冷却機能を失い、原子炉がまさに暴れ狂おうとする中、これに対処するために多くの人間が現場に踏みとどまった。そこには、消防ポンプによる水の注入をおこない、そして、放射能汚染された原子炉建屋に何度も突入し、〝手動〟で弁を開けようとした人たちがいた。・・・・・本書は、吉田昌郎という男のもと、最後まであきらめることなく、使命感と郷土愛に貫かれて壮絶な闘いを展開した人たちの物語である。」という著者の言葉が記されているように,この本は正にそういった状況を克明に記したノンフィクションなのです。よい本でした。感動しました。

 

 彼らはまさに「死の淵」に立たされていた訳ですが,その使命感や郷土愛の強さ,勇敢さは,そこに「武士」の姿を見るようです。

 

  また,吉田昌郎元所長の当時のクラスメートの証言では,吉田元所長はその高校時代から「般若心経」を諳んじていて,その頃から宗教的な面に強い関心があり,素養があったということです。あのような極限状況にあってもへこたれず,沈着冷静に,時には熱くなりながら指揮を完遂できたということは,そのあたりにも背景があったのでしょうね。

 

 この本の著者は夥しい数の関係者からの取材を行い,「生の証言」に基づいて著作しております。だからノンフィクションなのです。私も以前は,純文学や小説もよく読んではおりましたが,最近では史実や取材に基づくノンフィクションの方を好む傾向にあります。その方が感動が得られるのです。

 

 ただ先日,ゴルフでご一緒させていただいた私より年上と思われるご婦人が,クラブハウスでの昼食の際に,「藤沢周平が亡くなったときは本当に泣いた。」と仰っていたのを思い出しました。確かに歴史物の小説もたまには読みたくなりますね。特に,藤沢周平や山本周五郎のそれは,「日本人」を感じさせる何かがありますからね。

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