新聞記事によりますと,本日(4月10日)は,この愛すべき日本列島が中国からの黄砂でほぼ全体が包み込まれてしまうようです。例の有害な微少粒子状物質(PM2.5)が付着しているようでもありますし,本当に心配です。
中国には砂漠が存在するのは承知しておりますが,どんどん砂漠化が進んでいる地域に格別有効な対策を講ずることなく,やみくもな森林伐採の後に植林もしないからますます砂漠化に歯止めがかからないのです。
今,中国では鳥インフルエンザ(H7N9型)の感染が広がりを見せておりますし,各地の川や湖で大量の動物の死骸が相次いで発見され,飲用水や食の安全に対する市民の不安が高まっております。何しろ中国当局が報道規制を強める一方で,早々と安全宣言を発表したりするものですから,それがかえって市民の不信感を募らせております。3月上旬から中旬にかけて,上海を流れる黄浦江の上流で約1万匹のブタの死骸が流れたのは世界的なニュースになりましたが,3月中旬には四川省の川で約1000羽のアヒルの死骸が見つかっております。さらに4月上旬には上海の湖と重慶市の川でそれぞれ大量の魚の死骸も見つかっております(以上,産経新聞)。
アヒルの件では四川省の当局は「死因は不明だが、水質に影響はない」といち早く発表しておりますが,死因も特定できないのになぜ水質に影響はないと断定できるのでしょうか(笑)。約1万匹の豚の死骸が流れてきた件では,上海市と浙江省の当局は,やはり「水質に影響はない」と発表しております。何ででしょうね。こういった役人に対しては,「じゃあ,あんたがたその川で泳いでみろ。」と言いたいですね(笑)。
3月末には,河北省のある県の井戸水が赤く変色し,その井戸水を飲んだ鶏がバタバタと次々に死んでいった事例が発生しました。同県の環境保護局長は「水が赤いからといって安全基準を満たしていないとはいえない。小豆を入れて炊けばご飯も赤くなる。」と言ったそうです(爆笑)。笑っている場合ではなく,当局の役人自体がこんな資質,問題意識なのです。事態の深刻さを正直に発表してしまうと,社会不安が一気に広がり,責任を問われてしまうため,メディアをコントロールできる地方政府としては,原因等を調査する前から「安全宣言」を出すことしか考えていないそうです(産経新聞)。
例の大気汚染はとどまるところを知らず,水質汚濁は深刻で,重金属汚染も相当に進んでいるとのことです。また,中国当局の約3年にわたる調査では,1990年代にはあの広大な国土には5万本以上の河川が存在していたものの,2011年には2万2909本にしかなく,約2万8000本が失われたと発表されました。その原因としては,二つの破壊的な組み合わせ,すなわち過剰人口による水の搾取と,劇的な工業化による汚染であると分析されています。
中国共産党というのは,1949年の建国以来,中国を一党独裁で率いておりますが,その一党独裁に正統性(レジテマシー)があるのは,人民を善導しその生活を豊かにしていくからでしょう。でも,確かに国民一人当たりの所得水準は,あの大躍進や文化大革命時代とは比較にならないものの,ジニ係数が0.6を超えるほどの超格差社会,汚職,劣悪な環境など,人民を善導しているとは到底思えません。今の中国の状況からすれば,衛星破壊実験や,領空・領海侵犯を繰り返している場合ではないでしょう。さすがに賢明さに欠けているのではないでしょうか。