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弁護士ブログ

2013/06/05

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 超多忙だったり,二日酔いだったりして,このブログの更新をさぼってしまいました。日本全国約6198万7240人の読者の皆様,大変申し訳ありませんでした(笑)。

 

 ある高名な画家の先生から「強くあれ、巨人。」という名前の本格芋焼酎をいただいたら,途端に巨人が弱くなってしまいました(爆笑)。先生,すみません。でも焼酎は美味しいです。

 

 さて,チャールズ・A・ビーアドという偉大な歴史家が書いた「ルーズベルトの責任-日米戦争はなぜ始まったか(上・下)」(開米潤監訳,阿部直哉・丸茂恭子訳,藤原書店)という本を読み終えました。正味800頁を超す大著ですが,読み応えがありましたし,読んでよかったと思いました。

 

 今でもかなりの数の日本国民は,いわゆる「東京裁判史観」そのものの歴史観を植え付けられたままだと思われますし,作家の半藤一利氏や東大教授の加藤陽子氏らに顕著に見られるような「たこつぼ史観」に凝り固まっているのではないかと思われます。「たこつぼ史観」というのは,実は腹黒く意図的に計画的に動いていた列強諸国やコミンテルンの動きをほとんど捨象して,日本の「暴走」だけに照準を合わせてひたすら日本が悪いと帰結しがちな史観のことをいいます。日本という「たこつぼ」に入ったまま,その狭い範囲内で考察し,広く諸外国の当時の動きを緻密に分析することを避けているのです。

 

 このチャールズ・A・ビーアドの歴史家としての大著が出版された1948年に彼は亡くなっております(享年74歳)。正に畢生の大作であり,歴史家としてとても緻密かつ公正に歴史を俯瞰しております。彼の日米開戦に関する歴史分析,歴史観は,いわゆる「東京裁判史観」とは隔たりがありますから,アメリカ当局にとってはとても都合が悪かったのでしょう。GHQ占領下では日本訳を禁じたでしょうし,その後もなぜか日本語に翻訳されずに推移し,この本の日本語訳が世に出たのは何と2年前です。それを私はこのたび購入したのです。

 

 ルーズベルトは1940年の大統領選挙には不戦を国民に約束して当選し,その後も不戦の「外観」をとり続けました。しかしその水面下では,英国のチャーチル首相との大西洋会談で参戦を約束し,以後は大西洋でドイツの潜水艦を追い回して機雷攻撃を加えたりして参戦の機会を窺っていたけれども,ドイツはその挑発に乗らず,アメリカ国内でも国民は参戦には否定的でした。この本の監訳者解説から引用してみましょう。

 

 「ルーズベルトにとってそれは大誤算だった。そこで彼が目を付けたのが太平洋だった。ドイツと軍事同盟を結んだ日本を経済制裁によって”締め上げ”、挑発し、日本に『先に一撃を撃たせる』。これによって参戦への大義名分を得ようとする戦略に転換したのだった。日米関係の外観は戦争が始まるまで『平和的であった』という。だが、実情は大きく異なっていた。在米日本資産の凍結、全面禁輸、近衛文麿首相からの太平洋会談拒否、ハル・ノート(対日要求の覚書)の手交などルーズベルトは対日強硬策を次々と打った。特に中国からの全面撤退を求めるなどしたハル・ノートに対するビーアドの批判は痛烈である。ルーズベルトは開戦直前の12月2日の記者会見で、日米関係は平和的であるのみならず完全に友好的であると述べた。しかしながら、11月26日にハル・ノートを手渡しており、日本の野村吉三郎大使、来栖三郎特使はこれを一読して『この合衆国の提案が日本政府に伝われば、おそらく「お手上げだ」と言って匙を投げるだろう』と断言した。その予言どおりに日本政府が野村大使に『屈辱的な提案』として交渉は事実上決裂と伝える極秘電報を傍受しても、対日スタンスを変えることはなかった」

 

 要するに,ルーズベルトは参戦したくてしたくて仕方なかったのです。そのため,まずは日本の方から第一撃を撃たせれば国民も納得するだろう。通信傍受,暗号解読により真珠湾攻撃はルーズベルトにとって「晴天の霹靂」などではなかった・・・。

 

 いわゆる「裏口からの参戦(backdoor to the war)」というやつです。「東京裁判史観」や「たこつぼ史観」とは少し見方を変えて歴史を学んでみるのもよいと思います。

 

 以前に「真珠湾の真実-ルーズベルト欺瞞の日々」(ロバート・B・スティネット著,妹尾作太男監訳,荒井稔・丸田和美訳,文藝春秋)という読後感をこのブログで書いたことがありますが(平成22年9月9日),その記事もご参照ください。

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