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2014/04/22

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 とうとう中国の裁判所(上海海事法院)は,浙江省の港にあった「商船三井」の貨物船を差し押さえましたね。しょせん中国の裁判所や裁判なんてものは,国際的に通用する「司法」などではなく「政治」なのです。法の支配,法治主義の対極にあります。

 

 なぜそう言えるのか。それは新聞などが指摘しているとおり,「この時期の貨物船差し押さえには、日中関係の悪化を受けた政治判断が絡んでいることは明らかだ。」,「株価低迷,環境の悪化などの問題を抱え、習近平指導部の求心力は低下している。ある共産党筋は、『習指導部は、江沢民時代以降実施してきた愛国主義教育によって、国民の間で高まっている反日感情を利用し、国民の不満をガス抜きさせようとしている』と分析した。」などと報道しているように(産経新聞),やはりしょせん中国の裁判所や裁判の本質は共産党の意向で何とでもなる「政治」なのです。現に,いわゆる戦時徴用工の訴訟などについては,それまでは中国の裁判所は全く受理すらしなかったのに,ここへきて受理し始めています。この豹変ぶりは一体何なのでしょう。日本政府や日本企業に対するゆさぶり以外の何物でもありません。

 

 いずれにしても,日本政府や日本企業としては,最高裁判所が平成19年4月27日の判決で示したように「日中戦争の遂行中に生じた中華人民共和国の国民の日本国又はその国民若しくは法人に対する請求権は,『日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明』5項によって,裁判上訴求する権能を失ったというべきである。」との立場で良いと思いますし,毅然とした態度をとらなければなりません。

 

 カントリーリスクとは,海外投融資や貿易を行う際,対象国の政治・経済・社会環境の変化のために,個別事業相手が持つ商業リスクとは無関係に収益を損なう危険の度合いのことをいいます。中国なんかはカントリーリスクの高さは世界でも有数でしょう。例の尖閣諸島沖の中国漁船衝突問題や尖閣国有化の際に中国全土で繰り広げられた暴動,破壊,略奪,放火のシーンを皆さん忘れてはいませんよね。フジタの社員4人は人質のように拘束されもしました。さらに,チャイナリスクとして恐ろしいのは,知る人ぞ知る,中国の民事訴訟法231条です。中国国内で民事上の問題を抱えている外国人は出国を差し止めるというものなのです。日本へ帰って来れないのですよ(笑)。笑い事ではなく,中国人が日本企業や事業者に嫌がらせしようとすれば,すぐに「給料未払いだ」,「退職金を払え」,「代金が少ない」などといって訴訟等を起こせばいいのです。何としてでも日本へ帰りたいと思うなら,法的にはとても納得がいかなくてもお金を払わなければなりません。

 

 中国商務部の発表では,今年の第1四半期(1月から3月まで)の日本の対中投資額は前年比で47.2%減少し,ここ10年間で最大の減少ペースになっていますし,EUからの対中投資額も減少しております。中国における人件費の高騰や景気の減速(不動産バブル,シャドーバンキングがらみのデフォルト危機など)だけでなく,カントリーリスク(チャイナリスク)をいやというほど認識したからという側面もあると思います。

 

 日本企業としては,それでも中国でのビジネスに打って出るというのなら,こういったリスクを負担する覚悟をしなければならないでしょう。余計なお世話でしょうが(笑)。

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