どうにもこうにも,あるメロディーが繰り返し繰り返し頭の中を回っていて仕方がありません。以前にもこのブログで「秋空の下で仕事に精を出し,てくてくと歩いているような感じ」というタイトルで記事をアップしたことがあると思いますが,バッハの教会カンタータ第78番(イエスよ、汝はわが魂を)の中の第2曲「われは急ぐ、弱けれど弛みなき足どりもて」という名のアリアのメロディーが素晴らしくて素晴らしくて・・・。ソプラノとアルトの二重唱なのですが,これもバッハ作品の中でも名曲中の名曲でしょう。
一説によりますと,あの,あのカール・リヒターが,この曲を聴いていたく感動し,音楽の世界に入る意志を固めたということも言われております。私は今でもカール・リヒター指揮,ミュンヘン・バッハ管弦楽団,ミュンヘン・バッハ合唱団の演奏による教会カンタータやその他のバッハ作品を,DVDやCDで楽しんでおりますが,カール・リヒターの指揮,演奏はやはり私の中では別格なのです。
音楽評論家の礒山雅さんも,リヒターの演奏について,「すでに述べたように、バッハのカンタータや受難曲は、人間の絶望や後悔、不安や恐れを、また逆に、希望や喜び、安らぎや信頼を、この上なく真摯に扱った世界である。そうした感情、いや、人間的内容を、リヒターほど痛切に掘り下げ、強烈な衝動をもって表現した人はいなかった。だから私は、バッハのカンタータを聴こうとすると、どうしても、リヒターに手をのばしてしまう。」と仰っております(「J・S・バッハ」194頁,礒山雅著,講談社現代新書)。
さて,そのリヒターも亡くなって既に30年以上が経過します。でも,ミュンヘン・バッハ管弦楽団等は今も健在です。ある女性からの情報で知ったのですが,今年の10月5日には横浜のみなとみらいホールで,ミュンヘン・バッハ管弦楽団によるバッハのブランデンブルク協奏曲全曲演奏会が催されます。早速チケットを購入してもらいました。とても楽しみです。現在のこの管弦楽団の演奏と,バッハの珠玉の名作を堪能できるのですから・・・。