夏なんですから,「暑い,暑い」と言っていてもどうしようもありません。暑くはありましたが,昨日の夕方は事務所から自宅まで徒歩で帰りました。もうすぐ自宅に着くという辺りで若いお母さんと3歳くらいの女の子が歩いているのを見かけました。「○○ちゃん,もう暗くなったね。」,「うん。」という何気ない母子の会話が耳に入ってきました。何かほのぼのとしたものを感じました。
各家庭にも様々な事情がありましょうが,私は昔から母親はせめて子が3歳くらいになるまではずっとそばにいて育んでいくのが良いと思っていました。今でもそう思っておりますし,我が家では3歳と言わず小学校低学年くらいまではそうしていました。もちろん育児には父親も参加です。一緒にお風呂に入ったり,寝る前は2冊ほど絵本を読んで添い寝をしたり・・・。そして何よりもよく子に話しかけたり,また家庭内で夫婦の会話が豊富なら子もその会話を聞いて成長します。もちろん躾けも必要です。
ところで,安倍晋三首相は,第一次安倍内閣の時もさることながら第二次安倍内閣でも外交,安全保障,経済政策(いわゆるアベノミクスの第1の矢【大胆な金融政策】と第2の矢【機動的な財政政策】)など,大変良い仕事をしておられると思います。やはりこれまでの仕事ぶりや成果をみますと,余人をもっては代えがたいというべきでしょう(あの鳩山由紀夫や菅直人と比較するのも大変失礼です【笑】)。でも,アベノミクスの中の第3の矢【民間投資を喚起する成長戦略】については,以前から違和感を覚え,首を傾げざるを得ない部分を少なからず含んでいると思っていました。特に最近では「一体何をそんなに焦っているのだろう」と感じるのが「女性が輝く日本」というスローガンの中身です。
端的に申しますと,「女性が輝く日本」というスローガンの下,現政権が性急に推し進めようとしている政策は,何か不必要に専業主婦を目の敵にし,伝統的な日本の家庭文化とでも言うべきものを壊し(「育児より働け」),無理に数値目標を欧米の水準に合わせようとしているかのようです。具体的には配偶者控除の廃止,「第三号被保険者制度」(夫が正社員等の場合,妻の収入が130万円未満であれば保険料を負担しなくても健康保険や国民年金に加入できる制度)の廃止,会社等の配偶者手当の廃止などが真顔で検討されているのです。
女性の輝き方は様々でしょう。総合職,バリバリのキャリアウーマンを目指して自己実現を図ることを第一とする人もいれば,サザエさんに出て来る磯野フネさんのように割烹着を着て家事,育児を十全にこなし,夫や子らがその役割を全うできるような良きハウスキーパーたる立場にある人もおり,これまたとても尊敬されるべきでしょう。それが日本の伝統的な家庭文化とでも言うべきものです。
当の女性たちも「子供が三歳くらいまでは母親は仕事を持たず育児に専念」という意見に20~30代の子育て世代の80%が賛成しています(国立社会保障・人口問題研究所『全国家庭動向調査』2008年)。八木秀次氏の「この八割の女性の意向を抑えてでも社会で『活躍』させたいとでもいうのだろうか。ここは少なくとも育児に従事する期間は、働かなくとも育児に専念できるよう優遇する制度を設計するのが新たな人口を生み出す女性たちのニーズにも叶う現実的な政策ではないのか。」(月刊誌「正論」平成26年8月号)との意見に賛同したいのです。日本を守る本当の意味の少子化対策というのは,外国人移民(家事に従事するメイドを含む。)を闇雲に導入することではなく,また竹中平蔵などの政商の悪魔のささやきにたぶらかされることではなく,方向としては間違っていないアベノミクスの第1と第2の矢を勇気をもって推進し,何より賃金を上げ(これにより妻も一定期間は経済面においても安心して育児に専念できます),日本人女性の(移民のではありません)合計特殊出生率を上げていくことだと思うのです。
なお,これに関連することについては,後日気が向いたら(笑),このブログで書いてみたいと思います。