産経新聞のサイトの記事によると,中国ではカシミヤ製品の不当表示に歯止めがかからず,「中国では、国内にいるカシミヤヤギから取れる量の数倍もの出荷がある」そうです(笑)。
ある大手百貨店が販売した「カシミヤ100%」と表示された繊維製品にカシミヤがほとんど入っていなかったことが判明し,業界全体の信用不安につながったのです。中国の複雑な流通経路の中でカシミヤヤギ以外の獣毛などが混入しているとみられ,悪徳業者がカシミヤの量を減らして差額をピンハネしているとも指摘されています。平成21年公表の野村総合研究所のカシミヤ関連の報告書によると,世界のカシミヤ原毛生産量の7割程度を占める中国産には,羊毛やヤクの毛,死んだカシミヤヤギから採取されたうぶ毛までが混入し,繊維表面の形状や手触りを偽装する引っ張り加工や薬品加工の技術開発(笑)が高度化しているとのこと。死がい毛は虫食い被害を受けやすいため化学薬品も使用されているのです。大変恐いです。これは正に「羊頭狗肉」の類です。
こういったことから日本のカシミヤ商材に関する業者や商社の中には,モンゴル産にシフトしていくものも見られ,しばらくモンゴルの遊牧民と生活して信頼関係を築き,数年かけて原毛の買い付けから製品まで一貫生産する仕組みを作っております。賢明ですね。
「羊頭狗肉」という言葉は,実質や内容が見かけと一致しないこと,見かけ倒しのことを意味し,その語源を遡りますと,「羊頭を掲げて狗肉を売る」を略した四字熟語であり,出典は中国宋時代の禅書「無関門(むかんもん)」。店頭の看板には「羊頭(羊の頭)を掲げ,実際には「狗肉(犬の肉)」を売る意味が転じて,要するにごまかしを意味するのです。中国という所は,もう宋の時代からこういう言葉があったように,「偽装」の歴史と,「偽装」が当たり前という状況の定着と,職業倫理の希薄さという好ましからざる伝統は半端なものではありません(笑)。
中国共産党が香港に強制した「普通選挙」だって,そもそも立候補者を中国共産党のお気に入りの人物に絞り込んでしまい,事実上選挙民には自由な選択の余地を許さないのですから,もはや「普通選挙」とは言えず,やはりこれも「羊頭狗肉」の類ではないでしょうか。