もう,ずいぶん昔のことになりますが,私が中学2年生の時,割と親しかったM君とそれほどでもなかったO君とが,休憩時間中に教室の後ろの方で激しく言い争っていた場面を今でもうっすらと覚えております。M君は中国共産党のことを「中共」と呼び,当時あの暗黒大陸で展開されていた文化大革命を痛烈に批判し,対するO君は文化大革命と中国共産党を必死で擁護しておりました(笑)。
わたし自身はその当時はまだ幼稚で,遊びと音楽に夢中で忙しく,完全に「ノンポリ」でしたので,今にして思えば彼らは本当に早熟です。実際にはそれぞれの親の影響が大きかったのでしょうね。文化大革命は狂気と愚劣さに充ち満ちており,毛沢東が企んだ権力闘争に過ぎません。「過ぎません」とは申しましたが,その結果は極めて深刻なもので,死者は数百万人とも数千万人とも言われております。現在ではあの中国共産党自体もその誤りを認めているのです。
でも,その当時朝日新聞は,この文化大革命のことを「そこには、『道徳国家』ともいうべきものを目指すとともに。中ソ論争の課題に答えようとする『世紀に挑む実験』といった意欲も感じられなくはないのである。」などと褒めそやしていたのです(笑)。「道徳国家」ですか・・・(笑)。メディアとして恥を知るべきです。これに対しては,「君だって文化大革命の評価などというものは後に得た知識,情報に基づくものだろう。当時は評価は難しかったんだ!」との反論を受けそうですが,この朝日新聞は中国共産党の覚えめでたく,当時は日本のメディアの中で唯一中国に止まって活動することができた新聞社なのです。実情を知っていながら,中国共産党が気に入る情報しか日本に発信していなかったというべきでしょう。フランスの新聞社などはこれが権力闘争に過ぎないことを看破した記事を書いていたのです。
ついでに言いますと,カンボジアのポルポト政権がいわゆる毛沢東思想に凝り固まり,貨幣経済を完全否定し,学者や公務員,医師,技術者,学生などの知的エリートたちを敵視し,大量虐殺という暴挙に出たわけですが,その犠牲者は100万人から300万人とも言われています。でも,かの朝日新聞は当時,ポルポト政権(クメール・ルージュ)のことを「きわめてアジア的な優しさにあふれているようにみえる」などと,これまた褒めそやしていたのです。メディアとして恥を知るべきです。
そこへもってきて,例の「従軍慰安婦」報道の訂正記事と開き直り,そして朝日新聞はこの夏,大東亜戦争の際の沖縄戦に関し,中高生用の教材を38万部も作成し,無償で希望する学校に配ったのですが,その内容の酷いこと,酷いこと・・・。プロパガンダ紙そのものです。大田実中将による「沖縄県民斯ク戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」との海軍次官あての電報の記事も,そして中将がこのような電報を発信した背景事情として現に存在していた史実には触れられておりません。悪意を感じます。
このたびの朝日新聞の沖縄戦に関する「教材」なるものは,教育再生実行会議委員の八木秀次教授が述べているように,「沖縄戦をめぐってはさまざまな議論があるが、朝日新聞が学校に配布している資料は、日本軍の残虐行為を強調するだけで著しくバランスを欠いている。学習指導要領の趣旨に反するのは明らかで、教育現場で使われるべきでない」のです。
もはや朝日新聞につける薬はなく,この新聞は「イッツ,オーバー(It’s over.)」と言うべきでしょう。