「だまつて今日の草鞋穿く」
種田山頭火の句の中でも,何かしらこの句は好きな句の一つなのです。この漂泊の俳人は,木賃宿から毎朝草鞋を穿いて行乞の旅に出立しなければなりません。生きていくために。旅人,特に山頭火のように行乞の旅に出る人にとって,この朝の草鞋を穿く瞬間は精神的に辛い時間なのかもしれません。この句が作られた季節は分かりませんが,寒い寒い冬の旅ならなおさらでしょう。
さて冬至が過ぎました。私は毎年思うんですけど,冬至が過ぎてこれからだんだんと日が長くなってゆくこの感じが好きなのです。日本経済もこうだと良いのですが・・・。
ところで,実は私の部屋は本だらけ・・・。確かにうちのカミさんが言うように掃除がしにくいし,ホコリが溜まりやすいのです。それに,大きな本棚が2つあって,地震対策は十分とは言えません。カミさんは常日頃,本棚が倒れて私が下敷きになるのが心配などと言ってくれておりました。
そして最近ではカミさんは,「断捨離!」などと連呼して私を洗脳し(笑),徐々にその2つの大きな本棚と多くの本を何らかの形で移動するか,処分するかをソフトに,それでいて事実上抵抗を許さないような説得力をもって,私に迫って来ていたのです。何とか私を説得しつつ,私が不在の時に徐々に本を袋に詰めて廊下に出したり,粗大ゴミの処分券を購入したり,本の移動や本棚及び本の処分を次第に既定路線化していったのです。ちょうど徳川家康が,秀吉亡き後の豊臣家に対し,関ヶ原の合戦を経て,大阪冬の陣で大阪城の外堀を埋め,大阪夏の陣で最終目的を果たすかのように(笑)。
そしてとうとう,昨日の天皇誕生日の祝日がその日となりました。私の部屋は見違えるようにきれいさっぱりとなったのです。私も感慨にふけりながら,処分する本をビニールテープで括る作業をし,カミさんは掃除機をかけてくれました。
本当にさっぱりしました。確かに普段から,もうそろそろ大掃除をしなければならないなと思いながら過ごしてはいたのですが,うまいことカミさんにしてやられつつも,一足早い懸案の大掃除ができました。
それにしても処分すべき本が大量に出てしまいました。名残惜しいような気もしますが,結局は私もいずれあの世に逝く訳ですし,残された私のそのような「蔵書」を私の子や孫が繙くことがあるのかどうかは極めて疑問ですから,結果的にはこれで良かったのかもしれません。というのも,私の読書傾向は相当に偏っていますから(爆笑)。