私は小学生のころから,それこそ毎週欠かさずにNHKの大河ドラマを観ていました。昔から歴史物,特に戦国武将ものがすごく好きだったんですよ。例えば,まだ小学生だったころに観た「天と地と」なんかを今でもよく覚えております。日曜日の8時から本番を見ただけではあきたらず,小学校から帰ってから土曜日の再放送まで観ていましたからね(笑)。
「天と地と」という大河ドラマは,長尾景虎(上杉謙信)役は石坂浩二,その父親の長尾為景役は滝沢修,その側室の松江役は有馬稲子,長尾為景の実兄である長尾房景役には志村喬,景虎の軍師宇佐美定行役には宇野重吉,武田信玄役には高橋幸治,その他にも大友柳太朗,藤村志保,新珠三千代なども出演していました。錚々たる役者さんたちです。もちろん脚本も素晴らしかったし,子どもながらにもこういった分野や出演者に対する憧れと尊敬の念というものが確かにあったのです。
でも最近の大河ドラマにはそういったものを感じることは全くありませんし,特にここ数年はあまり観る気がしないし,実際に観ていません。「龍馬伝」などはやたらにほこりっぽく薄汚い画像でしたし,「平清盛」について画像が暗く薄汚く,天皇家を貶めるかのようなセリフも散見され,不愉快でした。
そういえば,数日前の産経新聞にライターの吉田潮さんの「何となく薄気味悪いNHKの妹路線」という見出しの,少し違った観点からの記事が載っていました。確かに戦国時代も,幕末も,もうたいていの歴史やストーリーの流れは視聴者も知っています。そういう意味ではNHKとしても何か新味を出したいところでしょう。吉田潮さんの記事から少し引用してみましょう。
「そこで、NHKが考案した策の一つが『妹キャラ』。教科書に載っていない、脚光を浴びていない、皆があまり知らない人物を主人公に据えることで、広くあまねく興味をひきつけようという作戦だ。直近の作品で言えば、平成23年の『江 姫たちの戦国』(茶々は名実ともに有名だが、その妹、江がメーン)、25年の『八重の桜』(会津藩士の妹)、そして今年の『花燃ゆ』(吉田松陰の妹)である。」
なるほど,そういえばそうですね。なかなか鋭い切り口です(笑)。それにしても,この吉田潮さんもご指摘でしたが,今年の「花燃ゆ」に出て来る役者さんにイケメンの多いこと多いこと・・・。ひがみではないがイケメンばっかり揃えてどうするの。また,脚本も桜田門外の変の場面も雪の上に寒ツバキが散って一瞬で終わりになってしまい,大河ドラマにも歴史の勉強を期待している私のような者のニーズには答えてくれていません。それにもちろん職業に貴賎はありませんが,お笑い芸人コンビ「どぶろっく」の2人がそれぞれ一橋慶喜役と島津久光役に起用されていることを聞き及んでは,もはや軽すぎて観る気も起こりません。
要するに,NHKの大河ドラマに対する私の現在の思いは,繰り返しになりますが,「天と地と」を観て,子どもながらにこういった分野や出演者に対する憧れと尊敬の念というものが湧いてきていたあの頃がとても懐かしいということです。