7月24日には2020年の東京オリンピックのエンブレムが発表されました。このエンブレムはアートディレクター・佐野研二郎氏の作品であり,多くの応募作品の中から選出されたようですし,国際登録商標の確認を終え,国際オリンピック委員会や国際パラリンピック委員会の承認を得て決定したようです。
しかしここに来て,このエンブレムのデザインがベルギーのリエージュ劇場のロゴにとても似ているということで,盗作疑惑が出ています。そのリエージュ劇場のロゴをデザインしたのはベルギー東部リエージュ在住のオリビエ・ドビというデザイナーです。彼は共同通信の取材に「盗用されたのか、着想を与えたのかは判断できない。」としながらも,同劇場からは「対策を講じるべきだ」との連絡を受け,今後弁護士と協議して対応を決めるということです。
両者を比較してみると,確かに色目は違いますが,基本となるデザイン基調はとても似ています。この問題は今度どのようになるかは分かりませんが,東京オリンピックのエンブレムなのですから,どんな結末になっても後味は悪いですね。
後出しジャンケンのようで気が引けるのですが,実は私はこのロゴを初めて見た時になぜこれが選ばれたのか疑問でした。ピンと来ないし,「なんかなあ-。」という印象を持ちました。右上に日の丸の赤が申し訳程度に付け足されているような感じでとても好感は持てませんでした。いやしくも国旗をあしらうのならば,その国旗に対するリスペクト(尊敬の念)が必要だと思うのです。そういうことからすれば,1964年(昭和39年)の東京オリンピックのエンブレムは日の丸がシンプルに,そしてその美しさを損なうことのない良いデザインだったと思います。
それにしてもね,東京オリンピック招致段階でのエンブレムのデザインを皆さん覚えておいでですか。「TOKYO 2020 五輪」の上に,それこそ見事に桜の花をあしらったとても美しいデザインでした。これは世界的にも大好評だったのです。あれは良かった。今からでも遅くはありません。あのデザインに戻しませんか。