日傘をさしております(笑)。こんないい物はございません。真夏にはもう欠かせないのではないでしょうか。日傘さえあれば,昼食の際,遠出するのも苦になりません。
今,「放哉と山頭火 死を生きる」という本を読み始めたところです。これは渡辺利夫さんが書いた本で,ついこの間,ちくま文庫から出版されたばかりです。やっとこういう本が出ました。尾崎放哉と種田山頭火という,同時代に生きた自由律俳句の俳人二人・・・。一冊の本でこの二人の主要な作品とともに生涯を描いたものを待望していたのです。巻末にはそれぞれの年譜(主要作品付き)も掲げられています。
もしもこういう本を書くことができるとしたら,村上護さんではないかと思っていたのですが,村上護さんは数年前に惜しくも鬼籍に入られました。それにしても渡辺利夫さんも素晴らしい本を書くものです。この方は本来はアジア経済が専門の学者(拓殖大学総長)ですが,この本では完全に作家です。素晴らしい内容です。以前この渡辺さんの「種田山頭火の死生-ほろほろほろびゆく」(文春新書)という本を読んで感銘を受けたことを覚えております。それにこの渡辺さんの歴史認識や国家観は私にすごく近いものもあります(笑)。
さて,この「放哉と山頭火 死を生きる」という本の内容は,私などが拙い紹介をするよりも,裏表紙に書かれているフレーズをご紹介した方が良いと思います。
「学歴エリートの道を転げ落ち、業病を抱えて朝鮮、満州、京都、神戸、若狭、小豆島を転々、引きずる死の影を清澄に詩(うた)いあげる放哉。自裁せる母への哀切の思いを抱き、ひたひた、ただひたひたと各地を歩いて、生きて在ることの孤独と寂寥を詩う山頭火。二人が残した厖大な自由律句の中に、人生の真実を読み解く、アジア研究の碩学による省察の旅。」
この本の前半は放哉の生涯と句,後半は山頭火の生涯と句が内容となっております。まだ放哉の前半部分までしか読み至ってはおりませんが,読んでいて何かしら切なくなってしまいます。