2020年東京オリンピックのエンブレム問題に関してです。ベルギーの劇場ロゴのデザイナー側が,著作権を侵害されたなどとして2020年東京オリンピックのエンブレム使用差し止めを求めて提訴したことについて,東京オリンピックの大会組織委員会は提訴したデザイナー側を非難するコメントを出しました。
この点に関する私の考えは前日のこのブログに書いたとおりです。潔くこのエンブレムは撤回すべきです。いろいろな面を考え,それが最も賢明だと思います。この大会組織委員会の会長があの森喜朗という人だからか,この委員会は様々な面で賢明さから遠ざかる方向へ向かっているような感じです(笑)。
ついでに言いますと,賢明さから遠ざかる方向へ向かっているような感じなのは,IOC(国際オリンピック委員会)も同じではないかと最近思っております。夏季,冬季を問わず,IOCはどんな基準で,そしてどんな思惑で開催地を選んでいるのでしょうか。
先日の産経新聞の記事(8月10日)では,諸外国の記事を引用し,最近のIOCの選択が賢明でないことを指摘しています。
例えば,英紙ガーディアンの兄弟紙で,日曜日に発行されるオブザーバー紙は8月2日付けで「2022年冬季五輪に北京が選ばれたことは、またしても五輪の価値を崩す前例をつくった」と主張し,人権状況に問題がある国がホスト国となる選考方法に疑問を呈する社説を掲載しました。同紙はまず,北京が初めて夏季と冬季の五輪を両方開催する都市となったことに関し,大会は数千トンもの人工雪を作る機械に頼ることになると指摘。「これ以上の茶番がどこになるのか」と厳しく批判しています。おっしゃるとおり(笑)。その前に予定されている2018年の韓国の平昌の冬季五輪だって,会場施設の建設,資金,それに雪の問題などから,本当に開催できるのかと思ってしまいます(韓国のなりふり構わぬ強烈なロビー活動の前に落選したドイツやフランスが可哀想です)。
また,米紙USA TODAY(電子版)は7月31日,北京は2008年の夏季五輪で,過去のどの大会よりも多額の400億ドル(約5兆円)が投じられ,インフラ整備のため推定150万人を移住させたことなどに言及し,「喜んで法外な金を支払い、住民を気にも留めない町が招致都市になるのはIOCにとっても問題だ」と指摘しています。
極めつきは同紙の次のような指摘です。
「途中まで招致を目指したノルウェーの首都オスロはIOCから①王宮か地元五輪組織委員会が費用負担するカクテルパーティーを催す,②道路にIOCメンバー用の特別レーンを設ける,③五輪組織委員長とホテル支配人の『歓迎の言葉』をIOCメンバーの部屋に季節の果物とともに置く-といった要求を突きつけられたことを紹介し,こうした「バカげた」要求が見直されなければ,「夏季でも冬季でも五輪を2年ごとに開催できるのは北京だけになる」と批判しています。正におっしゃるとおり(笑)。
IOCはもっと賢明にならなければなりません。