特に朝晩は冷えてきましたね。秋の深まり,しかも急速な深まりを体感しています。秋はこんなに足早だったでしょうか。くれぐれもお風邪を召されませんように。
産経新聞はいつも第1面に「朝の詩(うた)」というコーナーを設けています。読者から寄せられた詩が掲載されているのです。この「朝の詩(うた)」というコーナーでは,たまに私の心にとまる詩に出会います。昨日の産経新聞に掲載された次の詩は,「緑亀」という標題が付けられ,奈良県桜井市の中嶋隆男という83歳の男性の作品です。
「緑亀が庭の水槽から 消えて半年 ようとして行方不明 堅い甲羅をかじる猫や鼬(いたち)はいない と近くの川底を覗くが 真鯉やハヤばかり 孫と飼いはじめて八年 孫と同様に大人びて 餌を控えていたが・・・ 孫も来なくなり 緑亀も消えて 秋」
最後の「秋」で止められているのが効果的で,何か心に残ります。秋という季節は,上手く表現できませんが何かしらもの悲しい季節でもあります。
それにしてもこの詩は奈良県桜井市の男性の作品ですが,この辺りはまだ豊かな自然が残されているようですね。この詩の中に豊かな自然を感じます。この辺り(奈良県桜井市)は万葉集揺籃の地なのです。奈良県桜井町出身の保田與重郎の「わが萬葉集」(文春学藝ライブラリー)という本を読んだ時にはとてつもなく感動したものです。この本には奈良県桜井町が頻繁に出てきます。万葉集の時代に思いをはせながら一度はこの地方を旅したいものです。