くまモンや熊本県がかわいそうです。中国浙江省義烏市の玩具メーカーが偽物のくまモンを製造し,販売したのです。知的財産権の保護に関しても,この国は本当にダメです。食べる物から身に付けるものから何から何まで,偽物だらけです。
ストライキを伴う人件費の高騰,朝令暮改の法令及び運用,官僚の腐敗(許認可申請等については袖の下を渡さなければ思うように手続が進まない),大気汚染,水質汚濁,農地の重金属汚染,そしてこの知的財産権の無視ないし軽視などなど,中国のこのカントリーリスクに諸外国も辟易としており,中国から企業が撤退し,どんどん外資も逃げており,外貨準備高も減少の一途をたどっています。
さてさて,偽物といえば中国の国家統計局による同国の国内総生産(GDP)発表です(笑)。1月19日に国家統計局が発表したところによると,2015年の中国のGDPの成長率は,物価変動の影響を除いた実質で6.9%だそうです(驚愕)。
さてこの辺で,このブログの読者のみなさんにお尋ねします。中国のこのGDP成長率の発表を本気で信じている人は手を挙げてください・・・。どうですか・・・?
うわーっ,やはりこのブログの読者のみなさんはお目が高い,慧眼,鋭い洞察力を備えていらっしゃる。何と,手を挙げた人は一人もいません(笑)。
だって,今の首相である李克強という人が遼寧省の党委員会書記を務めていた2007年,駐中アメリカ大使に対して,中国のGDP統計は「作為的で信頼できない。」と断定し,実際には鉄道貨物輸送量や発電容量など,3つの指標を参考にしているということを告白しているのです。中国高官自体が自国のGDP統計の発表を信用していないのです。要するに中国共産党の手にかかったら,歴史と同様,GDP成長率の発表だってプロパガンダ(政治的宣伝)に過ぎないのですよ。
例えば,中国の場合,2015年の4~6月期の鉄道貨物輸送量が対前年比10.9%のマイナスになっています。実は2012年中盤からはずっと鉄道貨物輸送量はマイナスに落ち込むようになり,それでも中国の発表によれば7%以上の成長率を維持していたという「恐るべき事態」となっております(笑)。
次に,輸入量です。GDP統計が比較的正しい先進国については,輸入量の伸び率とGDP成長率については異様に高い相関関係があることが指摘されています。要するに,GDP成長率が高い国は,輸入量増加率も増えるのです。と,ところが,中国の輸入量は2014年11月以降,10か月連続して対前年比マイナスになっているにもかかわらず,やはり中国の発表によればGDP成長率が6.9%という「恐るべき事態」になっているのです(笑)。
ロンドンに拠点を構える独立系調査会社ファゾム・コンサルティングのエリック・ブリトン氏は「中国の公式統計はファンタジーだと考えており、真実に近いということもない。」と,ロイター通信のインタビューに答えています。
以上のデータや情報は,経済評論家三橋貴明さんの「中国崩壊後の世界」(小学館新書)という本を参考にしています。本当にすごいタイトルですね。「崩壊」することが前提になっています。