基礎研究ということがよく言われるのですが,そもそも「基礎研究」とは何なのでしょうか。どうやら基礎研究とは,特別な応用,用途を直接に考慮することなく,仮説や理論を形成するため,または現象や観察可能な事実に関して新しい知識を得るために行われる理論的または実験的研究を意味するようです。要するに,すぐに商業的な利益を生み出すことを意図してはおらず,純粋な知識欲や好奇心の発露としての研究ということなのでしょう。
このたびの大隅良典教授(東京工業大学栄誉教授)のノーベル医学・生理学賞の受賞は本当に素晴らしいと思います。自然科学分野の日本人受賞者は3年連続です。これもすごいことです。やはり日本人として誇らしい気持ちになります。新聞報道によりますと,大隅教授の受賞に寄せられた他の研究者のコメントでは,やはり基礎研究の重要性に口々に言及されています。また,私が愛読する(笑),産経新聞の先日の「産経抄」には,大隅教授のこのたびの受賞,そして基礎研究の重要性について,次のように記載されていました。
「東大理学部の助手時代に取り組んだ、細胞内の浸透圧調整や老廃物の貯蔵・分解を担う『液胞』は、細胞のごみため程度にしか思われていなかった。『人のやらないことをやる』研究姿勢を続けた結果が、細胞の自食作用『オートファージ』の解明である」
役に立つ科学ばかりをもてはやす世の風潮というものがありますが,基礎研究の地道な継続は非常に重要です。ところで,我が日本国にはなにやら民進党という政党があるようで,同じ名前の政党が台湾にもあったような気がしますが,その代表になった蓮舫という人は,鬼の首をとったような例のヒステリックな物腰で自由民主党政権,特に稲田防衛大臣に食ってかかっております(笑)。そういえば,あの思い出すのもおぞましい暗黒時代と言われた民主党政権は,ショー化された「事業仕分け」会場で「役に立たない」科学分野の予算を削減しまくっておりましたね。この蓮舫という人も,スーパーコンピュータ開発予算について「世界一になる理由は何があるんでしょうか?2位じゃダメなんでしょうか」などと訳の分からないことを言っていました。今ではおぞましくも懐かしい思い出です(笑)。