9月28日にはいよいよ衆議院が解散されますね。衆議院議員総選挙については,日程的には10月10日に公示,同22日に投開票のようです。諸般の事情を総合的に考慮すれば,解散の時期は今が絶好ではないでしょうか。
こんな私でも,日本国民の一人としていろいろなことを一応は考えますよ(笑)。安全保障,外交の問題にしても(もちろん憲法改正は不可欠です。),経済の問題にしても(経世済民),社会保障,少子化,科学技術の振興,エネルギーの確保などなど,山積する諸問題を解決し,乗り切っていくには誰かが,そしてその指導力の下で有機的に結合したある組織が日本国の政権をちゃんと担っていかなければなりません。そうした観点からごくごく普通に考えますと,自由民主党という政党が核にならなければならないことは自明でしょう。他に何かございますでしょうか(笑)。
野党などは今回の解散については,「大義がない」とか「憲法違反だ」などと言い出す始末です。今回の衆議院の解散について,一体全体憲法のどの条文に抵触するのでしょうか(笑)。また「大義」がなければ解散してはいけないのでしょうか(笑)。
過去の歴史を振り返ってみても,衆議院の解散には必ずしも「大義」があったとはいえません。昭和27年4月28日にはサンフランシスコ講和条約が発効し,わが日本国はようやく主権を回復したのですが,それまでの公職追放やらなにやらで政界は混乱を極め,時の第3次吉田茂内閣もその政権基盤が脆弱で,私が尊敬する岸信介という政治家らも有志を募って日本再建連盟を発足させるなどの動きをしていました。政権維持にこだわり,安定させたい吉田茂は焦っていました。
そこで「ズル平」の異名を持つ吉田側近の策士・松野鶴平が吉田に知恵を授け,他の保守勢力や野党勢力の体制や準備が整わないうちに,何の前触れもなくいきなり衆議院を解散したのです(笑)。いわゆる「抜き打ち解散」です(昭和27年8月28日)。「大義」も何もあったものではありません(笑)。
それから,ほら,あの有名な「バカヤロー解散」です(笑)。当時の右派社会党の西村栄一議員の衆議院予算委員会での質問に対し,挑発を受けた吉田茂首相が「馬鹿野郎!」と,やや押し殺した声で思わず言ってしまったのですが,マイクの性能がよくなっていたため運悪く音声が拾われてしまったのです(笑)。このバカヤロー発言が契機となって最終的には衆議院が解散されてしまいました(平成28年3月14日)。何と,「バカヤロー」という発言が衆議院解散に至った訳ですから,「大義」も何もあったものではありません(爆笑)。
いいんですよ,解散に「大義」なんかなくっても。それよりも,ちゃんとした存在が政権を担ってくれれば・・・。もちろん,現在の自由民主党や安倍晋三という存在については,私は諸手を挙げて賛成などはしておらず,むしろ少なからず不満もあります。でも,浮ついた「民意」やブーム,そして軽佻浮薄なマスコミに乗せられ,またこれを利用した「小池新党」なるものと比較した場合,自由民主党が勝ってしっかりした政権運営をしてくれなければならないのは当然でしょう。「小池新党」,何やら「希望の党」というのですかね,当選したいばかりの自己保身に走った議員が駆け込み寺のように駆け込み,これから政党としての綱領や政策のすり合わせをしていくというのですから,有権者も本当にナメられたもんです。主催する政治塾から突貫工事で人選し,150人ほどの候補者を立てるというのです。まだ政党としての綱領も,政策の基本も確立していないというのに。
これから出張に出かけますので,今日はこれくらいにします(笑)。「叛骨の宰相 岸信介」(北康利著,中経出版)という本を読み終えたばかりなのですが,とても良い本です。この岸信介という政治家は,その抜群の頭脳,能力,識見,そして実績は誠に素晴らしいものであり,戦後最大の政治家なのではないかと心服しております。今の時代にもこういった素晴らしい政治家が待望されます。
このようにして,一雨一雨という感じで次第に秋が深まってゆくのですね。深まりゆく秋,私は一年の中でこういった季節も大好きなのです。
さてさて,北朝鮮が「ならず者国家」と呼ばれるようになってからかなりの時間が経ちますが,そのならず者ぶりはますますエスカレートしています。このたびの国連安保理による北朝鮮制裁決議は中途半端なものに終わってしまい,誠に残念です。中国やロシアのような国が拒否権を濫用する構えを見せている以上,これからも国連は機能しないままでしょうね。
ロシアの場合は,本気で制裁決議を遵守しようとはしていませんし,むしろアメリカなどが困惑しているのを楽しんでいる気配すらあります。一方,中国の場合は,北朝鮮の度重なるミサイル発射や核実験でことごとくメンツをつぶされ,困惑というよりも怒りを覚えているのでしょうけど,やはり本気で北朝鮮に制裁を加える気はないのでしょう。というのも,中国は遼寧省丹東から北朝鮮へ延びるパイプラインを通じて原油を送り続けており,その量は年間約50万トンと推定されており,北朝鮮への供給量の9割を占めています。
中国がそのバルブを閉め,石油製品の輸出を停止すれば北朝鮮の軍事挑発に歯止めがかけられると思うのですが,先日の産経新聞(9月5日)では中国が石油製品等の供給停止に応じられない理由として5つほどが列挙,説明されていました。
それによるとまず第1は,技術上の問題だそうです。北朝鮮向けの原油には,ろうそくの原料のパラフィンが多く含まれており,送油を一定期間止めてしまうと凝結して管が詰まってしまうということです。
第2は,石油製品等の全面的な供給停止をしてしまうと北朝鮮の社会的混乱,政権崩壊に至る可能性があり,①大量の難民が中国に押し寄せ,②崩壊後に親米政権が誕生するなどといった事態を中国が受け入れる訳にはいかないというもの。
第3は,生命線を断たれた北朝鮮の金正恩政権が暴発し,供給停止で北朝鮮のミサイルが北京に飛んでこないとも限らないこと。
第4は,仮に中国が原油・石油製品の供給を停止したとしても,ロシアが秘密裡に供給し続ける可能性がある。その場合,北朝鮮との関係を決定的に悪化させた中国だけが損をすることになる(実際,ロシアの北朝鮮への石油輸出は急増している)。
第5は,中国にとって石油の禁輸措置は北朝鮮に圧力をかけられる最大のカードであり,それを使っても効果がなかった場合,北朝鮮へ影響力を行使できる手段を全て失うことになる。
以上のようなことが指摘,説明されていました。それにしても,このたびの核実験は水爆のようですし,そのうちICBM(大陸間弾道ミサイル)の弾頭に核を搭載する技術も備えてしまうでしょう。それに北朝鮮のミサイルが日本にも向けられていることは周知のことです。
「平和ボケ」も大概にしないと,そのうち取り返しのつかないことになります。
私の法律事務所のすぐ近くにあるその和菓子屋さんの店主は,残念ながらやはり鬼籍に入られたようです。前にこのブログでお話した挨拶文がシャッターから外されていたのですが,インターホンのすぐ近くをよく見ますと,手書きのメッセージが貼ってありました。弔問や香典等を辞退させていただく旨の,ご遺族のこれまた誠に丁寧なメッセージでした。
願わくばもう一度店主がご病気から再起されて,私もあの和菓子を味わいたいと思っていたのですが,今ではそれも叶わぬこととなってしまいました。こんなことならば,もっともっとあのみたらし団子,桜餅,柏餅,よもぎ餅,三色団子,若鮎,おはぎなどを味わっておけばよかったと思います。
思えば,今年の春頃でしたか,私がその誠実そうな店主に「若鮎はありますか。」と尋ねたら,若鮎というお菓子は夏にしか作りませんとのお答えでした。その時はおはぎと桜餅などを買って帰ったと思います。それがその店主と交わした最後の言葉になりました。ご冥福をお祈り致します。合掌。
そんな訳で,そのことが分かった晩にはバッハの教会カンタータ第106番「神の時こそいと良き時」をしみじみと聴きました。「神の時」というのはお迎えが来る時,すなわち死の時を意味します。このカンタータは葬送,追悼の時に演奏されるようにバッハが作ったものであり,ウィキペディアなどによりますと,当時の死生観を反映した作品として,草創期の素朴な作品として重視する愛好家も多く非常に人気の高いカンタータです。私自身もバッハの作品の中でも特に好きな曲です。旋律の美しさは勿論ですが,「神にあって死すべき時に我らは死ぬ。しかるべき時に。」という歌詞も身にしみます。
それにしても人の命は儚いもので,無常を感じます。徒然草の第155段の記述を思わず思い出しました。
「死期は序を待たず。死は、前よりしも来らず。かねて後に迫れり。人皆死ある事を知りて、待つことしかも急ならざるに、覚えずして来る。沖の干潟遙かなれども、磯より潮の満つるが如し。」