バッハの音楽が好きでたまらず,寝る前に音楽DVDで聴いたり,仕事で移動中の車内で聴いたりしております。先日,何気なく車を運転しながらバッハの曲を聴いていましたら,思わず聴き惚れてしまった曲があり,何度も何度も再生してしまいました。
バッハの「9つの小前奏曲より(《ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための音楽帳》から)」という小曲集のうちの前奏曲ヘ長調(BWV928)と前奏曲ト短調(BWV930)の2曲です。それがむちゃくちゃに佳い曲なのです。心に染み入りました。
この曲集は,バッハが長男フリーデマンの音楽教育のために父親として作曲した小品集ですが,あの厳めしい顔からどうしてこのような美しい曲想が浮かぶのでしょうか(笑)。しかも泉のように・・。そして,何よりもバッハの子に対する深い愛情が窺えます。
思わず何度も何度も繰り返し聴いてしまったこの前奏曲ヘ長調(BWV928)と前奏曲ト短調(BWV930)については,音楽評論家の礒山雅さんはそれぞれ次のような楽曲の解説を付しております。
前奏曲ヘ長調(BWV928)・・1720年から21年に自筆で記入された,《小曲集》の第10曲(4/4拍子)。曲集のうちとりわけ大規模かつ精緻な作品で,協奏曲を思わせる。
前奏曲ト短調(BWV930)・・1720年から21年に自筆で記入された,《小曲集》の第9曲。バッハが指使いを全曲にわたって記入した実例として、価値が高い(他に同曲集のBWV994のみ)。分散和音の練習であるが,広い音域の把握が求められ,両手が対話的に使われる。4/3拍子。
また礒山雅さんは,この曲集(ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための音楽帳)について,「音楽的には多くの曲がバッハらしい美しさをもち、《インヴェンション》の簡易版として、存在価値の高い作品となっている。」と解説されております。
バッハのインヴェンション(2声)とシンフォニア(3声)については,私の拙いテクニックでは越えられない壁になっている曲があったり,年齢のせいか何よりも練習の継続に対する覚悟というものに欠ける面があるのですが(笑),「《インヴェンション》の簡易版として、存在価値の高い作品となっている。」わけですから,まずはこの「音楽帳」から攻略する手もありそうです(笑)。早速,楽譜屋さんに行ってみることにします。