このたびの台風19号による被害については,政府により激甚災害として指定されます。本当に自然の猛威を見せつけられた思いです。亡くなられた方々や被災された方々には,心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
これは別の台風の時でしたが,私の沖縄出張も中止になりましたし,今度の19号についても,私が現在破産管財人として管理している物件に関して何か不都合が生じないかと心配でした。また,プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズの巨人対阪神の第4戦は,本来であれば10月12日(土)に予定されていたのですが,この台風のために順延になり,急遽新幹線のチケットを手配してもらって翌13日(日)に東京ドームで観戦しました。目の前で巨人の勝利(日本シリーズ進出)と原監督の胴上げを見たのです。
さて,話は変わりますが,「民意」というものは本当に恐ろしいものです。先月,日本経済新聞が「次の首相にふさわしいのは誰か。」という世論調査を行ったところ,何と第1位は小泉進次郎(29%),第2位は安倍晋三(18%),第3位は石破茂(13%)という結果だったのです。
では同じマス・メディアでもテレビの方はどうかと申しますと,日本テレビの同趣旨の世論調査によりますと,やはり第1位は小泉進次郎(21%),第2位が石破茂(18%),第3位が安倍晋三(17%)という結果だったのです。
うーん・・・,げに恐ろしきは「民意」かな。
この調査(アンケート)に対する回答者は,小泉氏の何を評価し,何に期待してこのような回答をしたのでしょうか。イケメンだからか(笑)。やっかみで言うのではありませんが,私は小泉氏のことを将来の総理候補だと思ったことは一度もなく,あまり評価してはおりません。これまでに議員として何か成果を出した訳でもなく,要するに選挙の際の応援演説で,各遊説先の方言を多用し,産物などに言及して聴衆の受けを狙ってきた「客寄せパンダ」のような存在だったとしか思えないのです。
物の言い方は父親の純一郎氏を意識して真似て,だけど実際の発言や回答については聞かれたことに対してストレートに答えようとせず,はぐらかしたり,「ポエム」と揶揄されるような意味不明なものが多いのです。
現在小泉氏は環境相ですが,その前任の原田義昭前環境相は,東電福島第1原発で増え続ける汚染浄化後の処理水について,退任直前に「(処理水を海洋に)放出して希釈する外に選択肢はない」と述べて反発を買いましたが,これは覚悟の上での勇気ある発言,正論だったと思います。処理水が含む放射性物質「トリチウム」は自然界に大量に存在し,紙一枚で遮蔽され皮膚も透過できないほど微弱です。体内に摂取しても速やかに排出され,世界各国がごく普通に海洋放出しているのです。
それなのに小泉氏は,環境相に就任するや,福島県の漁業関係者と面談した際には「率直に申し訳ない。」とあっさりと陳謝し,迎合的な発言をして歓心を買い,他方,では30年のうちにこの問題を解決する方策を問われた時には,お得意の「ポエム」を語ったのです。海洋放出後,むしろ彼がやらなければならないのは,風評被害を払拭する努力でしょう。
とりわけ強調したいのは,これまで小泉氏の口から国家観,安全保障,歴史認識などについての発言を聞いたことが一度もないことです。私も毎日新聞を読んでいますし(「毎日新聞」ではなく「産経新聞」です【笑】),その他ネットや雑誌などで人並みに情報を得てはおりますが,彼が国家観,安全保障,歴史認識を語っているのを見聞きしたことは一度もないのです。さきほどの世論調査に回答し,彼を次期総理に相応しいと回答した人たちは,これらの点について彼がどのような認識を有しているのか分かっていたのでしょうか。
くどいようですが,げに恐ろしきは「民意」かな。
先日の産経新聞のコラム「産経抄」には,なるほどなと思えるようなことが書かれておりました。汚染水のことに対する小泉氏の安直かつ迎合的な対応を批判した上で,次のように書いていたのです。
「第37代米大統領、ニクソンは著書『指導者とは』で、口達者で雄弁に所信を述べ、マスコミや同僚を驚かす新人政治家について論じている。『当初の珍しさはすぐに薄れ、彼らも「いかに語るか」より「何を語るか」によって採点され始め、まもなく単なるおしゃべりでしかないことが分かる』」
いよいよプロ野球のクライマックスシリーズが始まりました。私は10月12日(土)の巨人対阪神の第4戦目を東京ドームで観戦する予定であり,チケットも入手済みです。ただ,巨人が3連勝するとアドバンテージの1勝を加えて4勝となりますので,12日の試合はなくなります(笑)。それよりも何よりも,猛烈な勢力の台風19号が東海,関東を直撃することはどうやら避けられない見通しで,何よりも新幹線で名古屋から東京まで移動できない,あるいは帰って来ることができない恐れもあります。また,12日の第4戦が中止になり,翌13日に順延となりますと,慌てて新幹線のチケットの変更手続をしなければなりません。休日というのに忙しいことになりそうです(笑)。ただ,被災地のことを思いますと,笑い事では済まされませんね。この台風の進路となりそうな地域では,早期の避難をはじめ,念入りな対策を講じる必要があります。
前置きが長くなりましたが,昨夜は巨人阪神戦をテレビで観ながら,「さすがに今年はノーベル賞の日本人受賞者は出そうもないな。残念だけど・・・」などと独りごち,でも巨人が5点取って大きくリードしているので満足して一杯やっておりますと,テレビ画面にテロップの速報が流れ,何と,吉野彰さんが今年のノーベル化学賞を受賞したことが分かりました。うれしくて,うれしくて結果的に昨晩のお酒の量が増えてしまいました(笑)。
本当に凄いですね。別に小市民である私が偉くなった訳でもないのに,やはり日本人受賞者が出ますと,同じ日本人としてとても誇らしくなります。基礎科学を地道に研究することの重要性が,結果的には全世界の人々のためになる結果をもたらすのですね。基礎科学というのは,各学問分野の基礎部分を扱う学問であり,自然科学における基礎科学は一般に理学といわれ,物理学,化学,生物学,地球科学,天文学など自然科学全体の基礎となる理論的研究をする部門を指します。
でもね・・・。考えてみますと,そして識者の意見では,もうこの先はこのように日本人の受賞ラッシュ(今回で27人目)は続かないと思います。これまでの受賞は,過去の地道な研究という遺産が果実として現実化したものであり,今後日本政府が各学問分野の研究環境の整備に注力せず,補助金等の削減を続けていったりすれば,日本人のノーベル賞の受賞は急減してしまうでしょうね。
各国の科学技術力を比較する指標には,論文数,高被引用論文数,世界大学ランキングなどがありますが,日本は低調傾向です。また,「悪夢のような政権」であった民主党政権時代には,あの蓮舫とかいう人たちが「事業仕分け」と称して鬼の首を取ったように,バッサバッサと研究費や補助金,施設整備費を削減しまくったシーンを覚えておいででしょうか。まるで中国の文化大革命時の紅衛兵のようでした(笑)。
そんな時,やはり2001年にノーベル化学賞を受賞した野依良治教授が,「科学技術は日本が国際競争を生きる術であり、国際協調の柱だ。これを削減するのは不見識。」,「(事業仕分けは)将来、歴史の法廷に立つ覚悟でやっているのかと問いたい。」と強く警鐘を鳴らしたことは今も覚えております。この発言に私も,「その通りだ!」と思わず快哉を叫んだのです。
それなのに,その後の日本の科学技術関連予算は決して十分ではありません。それに,端的に言うと日本政府は本当に日本国の政府なのかと首を傾げざるを得ません。グローバリズムと称して,外国人留学生には税金を使って年間293億円もの手厚い支援がなされているのに,日本の優秀な学生は,奨学金返済の負担で苦悩しています。逆でしょう?
もう仕事に戻らなければなりませんので,今日はこれくらいにしておきます(笑)。