「サザエさん」の磯野波平さんの毛髪の頭皮定着力には恐るべきものがあります。正に脅威と言ってもいい。人間の毛髪サイクル上は,大抵は4~5年で生え変わるはずですが,波平さんは半世紀以上も頭頂に1本だけ毛髪が存在し,しかも抜けたり生え変わったりした形跡がありません(笑)。
毛髪と言えば,私も自分の毛量を気にしていた時期がありましたが,もう最近では別に年相応で良いと達観しております。諦観というのが正確か(笑)。自分の年齢からすればむしろ善戦しているのじゃないかとさえ思っております。自分と同じ年齢層の人の多くは,禿頭(とくとう)に近かったり,相当に薄かったりしていますからね。
でも,そうは言っても気にはなります。どうしても・・・(笑)。自分の髪の毛は相当に白くなりましたが,歳をとってもある程度の毛量は維持したい。ところで,私はいつも晩酌を楽しんでいるのですが,飲酒と育毛との関係はどうなんだろうとの疑問を抱き,いろいろと研究をしてみましたが,概ね確信に至る結論に至りました。要するに,過度の飲酒は育毛に悪いということになりますし,過度でなくてもあまり良い影響は与えないという結論です。以下,飲酒と育毛の関係について,私が到達した結論について述べたいと思います。
第1に,髪の成長に必要な栄養素がアルコールの分解に使用されてしまうということです。飲酒で摂取したアルコールは分解されなければなりませんが,飲んだお酒(アルコール)は肝臓でアセトアルデヒドという物質に分解され,その後に酢酸に分解されます。そしてお酒を飲みすぎ,アセトアルデヒドから酢酸への分解が追いつかなくなると,これを補うためにアミノ酸が動員されるのですが,アミノ酸というのは髪の成長には欠かせない栄養素なのです。ですからアミノ酸が不足することで髪に十分な栄養が与えられなくなります。
第2に,多量の飲酒(アルコール摂取)があると,アセトアルデヒドが分解しきれずに体内に残り,そうなりますと男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロンが増加すると考えられています。このジヒドロテストステロンは男性型脱毛症の原因物質となる悪玉ホルモンであり,これが頭皮にある男性ホルモンレセプター(5αリダクターゼ)と結合すると抜け毛の指令を出す脱毛因子が増殖するのです。
第3に,飲酒によって懸念されるのが糖質の過剰摂取です。確かに,ビール,日本酒,ワインなどにも当然糖質が含まれておりますし,私などはやはりおつまみが必要な人間ですから,糖質の過剰摂取傾向となります。そうなりますと,糖質の過剰摂取により中性脂肪が増え,これによって血液がドロドロになり血行不良,当然頭皮も血行不良となります。髪の毛への栄養は血液(頭皮の毛細血管)を通じて供給されているので,当然栄養が十分に行き渡らず,育毛が妨げられるのです。
第4に,これは自分でも思い当たるのですが,お酒を飲みすぎますと睡眠の質が低下して成長ホルモンの分泌量が減少します。飲みすぎたなという晩は,確かに夜中に目覚めたり,眠りが浅かったりして睡眠の質が低下します。この年齢で成長ホルモンも何もあったものではないとも思いますが,髪の成長,修復に欠かせない成長ホルモンが1日のうちで最も多く分泌されるのが入眠開始から1~2時間ほどで(ピーク),その後4~5時間かけて全身をめぐるようです。やはり睡眠の質そして成長ホルモンの分泌という観点からも過度の飲酒は禁物のようです。
以上,飲酒と育毛との関係について確信に至った4項目を列挙しましたが,あとは実行です。幸いにして,最近では1週間のうち3日ほどはちゃんと休肝日を設けております。すると体重減少というおまけも付いてきました。
特に,私は頭の形があまり良くないので(笑),波平さんのような禿頭にはなりたくないのです。休肝日確保の習慣を是非とも続けたいと思っている今日この頃です。
日曜日のゴルフに疲れ果て,ぐっすり眠って今朝目が覚めた時,ボサーッとしてスマホでネットの記事を読んでいましたら,朝っぱらからなかなかいい話に出くわしたのでした。お笑いコンビ「アンガールズ」田中卓志さんの記事でした。
敢えて厳しい言葉を一回だけ,でもそこに「相手のためを思って」という深情けに根差した言葉であれば,言われた人のその後の人生を左右するだけの重みをもつのだなと思った次第です。
その記事は文芸誌「小説新潮」の連載記事が引用されたものでしたが,田中さんの浪人時代の予備校講師に言われた言葉が彼に感銘を与えたというもので,彼はその言葉に触発されて見事広島大学に合格し,その後も芸人を諦めずに精進する動機づけを与えているようです。
彼を含む予備校生が,ある予備校講師(俳優の木下ほうかさんに似ていたらしい)の最初の授業で,しかも授業の小休止の時にただ1回だけ厳しく言われたようです。その言葉とは・・・
「みなさん、今日から授業が始まり、浪人生活が始まったわけですけども、はっきり言って、みなさんは今、学生ではないですよね、予備校は学校じゃないので学生とは言えません。しかも社会人でもないですよね、会社で働いているわけでもないんですから。みなさんは学生でも社会人でもない、なんでもない人間になったわけです。こんなところからは1年で抜け出さないと大変なことになりますよ。高校生の時に勉強しなかったから、こうなったんです。自分の責任なんだから、しっかり1年勉強をしたほうがいいですよ。僕は毎年これを最初の授業で言うんです。でも、これだけ言っても勉強せずに、来年の1月くらいに受ける大学がないと泣きついてくる人がいます。みなさんはそうならないようにしてください」
その予備校講師はそれだけ言うと,チョークを手に取り,「えー続いては・・・」と何事もなかったかのように授業を再開したとのこと。厳しい言葉ですが,目の前にいる浪人生たちのことを真剣に考えて,ただ1回だけ敢えて厳しい言葉で忠告をしたのでしょうね。ただ1回だけというのが印象的ですし(いつもガミガミ言わない),その時の言葉が皆の心に残るのでしょう。とても効果的です。
田中さんはこの厳しい言葉に一念発起し,猛勉強をして見事1年の浪人生活で大学に合格しました。さてその後はお笑い芸人の世界に。「みなさんは学生でも社会人でもない,何でもない人間になったわけです」・・・田中さんとしてはお笑い芸人を始めた時,人生で2度目のこの状態になっていることになんとなく気づいて,何でもない人間から脱出しようとしてもがいていたようですが,その後もあの予備校講師の言葉を思い出しては,なかなか日の目を見ない時でも芸人を諦めることなく,芸人としてネタ作りに勤しむなど精進をしているということです。
「アンガールズ」がまだ有名になる前,テレビ番組「エンタの神様」などでその芸を観たことがありますが,私としても評価が難しく,とても微妙で(笑),彼らも一発屋で終わってしまうのではないかと思ってしまった反面,その独特の笑いのセンスに少しウケてもいました(笑)。
長い人生の中では,こういった心に残る言葉に巡り合うこともありますよね。
河村たかし名古屋市長は,とても気さくな方です。ある訴訟事件を他の代理人弁護士と一緒に処理していた折には大変お世話になり,各回の期日が終了したり,午後の法廷までの昼休みに入った際には,10回ほど一緒にランチをしたこともありました。
河村市長は確か一橋大学商学部を卒業した後は,割と長い間司法試験を目指されていた時期もあり,我々弁護士の仕事についてもとても理解があります。
ただね,オリンピックの金メダルを嚙んだりしてはダメです。これはどう考えてもダメでしょう。あの女子ソフトボールで金メダルを見事獲得した日本代表の後藤希友選手(名古屋市出身)が報告のために名古屋市役所を訪れた際,河村さんはあろうことか後藤選手の金メダルを噛んでしまったのです。
「最大限の愛情表現のつもりだった。」みたいな弁解をしておりますが,凱旋して報告に来た後藤選手としてもそんな「愛情表現」をされたくはなかったでしょうし,また,されなければならない義理もありません(笑)。いや本当に笑い事ではありません。その金メダルは後藤選手にとってはアスリートとしての不滅の金字塔ともいうべきものであり,正に何物にも代えがたい人生の宝物なのです。その至宝がたとえ一瞬であったとしても他人の唾液で汚されたとあっては,泣きたくなるでしょう。現に柔道でこれまた見事金メダルを獲得した髙藤直寿選手は「俺だったら泣く」と言って非難しております。
河村市長は,例の「あいちトリエンナーレ」におけるおよそ芸術とは評価できない,訳の分からない不遜な物の展示等に対しては,見事な反対の論陣を張り,大村知事のバカげた主張と対立し,私としても大いに評価していたのですが,今回の金メダル噛みという暴挙は謝罪しなければなりませんね。ちょっとした想像力さえあれば自制できたはずなのに,返す返すも残念な出来事でした。
後藤選手は偉大な上野選手の後継者たりうる立派な投手ですから,これにめげずに是非頑張って欲しいものです。