「人間臨終図鑑 第1巻~第4巻」(山田風太郎著,徳間文庫)という本がありますが,私は最近これを読み始め,昨日第3巻目に入ったところです。産経新聞の書評欄にこの本が紹介されていたので,直ぐにこの本を買い求めて読み始めたという訳です。
どの巻も440ページ前後ありますので,しめて1760ページほどになります。相当に読みごたえというものがありますよ。「○○歳で死んだ人々」・・・などと区分され,古今,洋の東西を問わず,著名人(政治家,軍人,武将,作家,俳人,音楽家,画家,俳優,僧侶,思想家(哲学者),科学者,スポーツ選手,芸能人,犯罪者などなど)の略歴や業績,エピソード,今際(いまわ)の時が描写されています。
この本の特徴を言い表すのはなかなか難しいのですが,巻の背表紙の短い文章をご紹介した方が分かりやすいかもしれません。
「戦後を代表する大衆小説の大家、山田風太郎が、歴史に名を残す著名人(英雄、武将、政治家、作家、芸術家、芸能人、犯罪者など)の死に様を切り取った稀代の名著。15歳~49歳で死んだ人々を収録」(第1巻背表紙)
「偉人であろうが、名もなき市井の人であろうが、誰も避けることができぬもの・・・・・それが死。巨匠が切り取った様々な死のかたちは、読む者を圧倒する。50歳~64歳で死んだ人々を収録。」(第2巻背表紙)
「荘厳、悲壮、凄惨、哀切、無意味。形はどうあれ、人は必ず死ぬ。本書のどの頁を開いても、そこには濃密な死と、そこにいたる濃密な生が描かれている。65歳~76歳で死んだ人々を収録。」(第3巻背表紙)
第4巻の背表紙は省略しますが,この巻には77歳~121歳で死んだ人々が収録されております。まあ,いろいろな死がありますが,著者(山田風太郎)の言葉を借りれば,「どんな臨終でも、生きながらそれは、多少ともすでに神曲地獄篇の相を帯びている。」とも言えますね・・・。ダンテの「神曲」です。
でも,地獄には行きたくないなあ(笑)。「神曲」では,地獄への入口の門には「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」の銘文が刻まれており,怖いどころの騒ぎではありませんからね。
誰にでも平等に死は訪れますが,その死に様について自分の場合はどうだろうかと案じてしまいます。この本を読むといろいろと考えさせられます。ジタバタして見苦しく振る舞うのか,それとも従容として死出の旅につくのか。できれば後者であって欲しいと思います。