今年に入って最初のこのブログにはジャイアント馬場のことを書きました。プロレスにはあまり興味もなく,詳しくもないのにその話題を書いたのは,産経新聞の書評に触発されて「雲上の巨人 ジャイアント馬場」(門馬忠雄著,文藝春秋)という本を読んで感動したからです。そのブログでも書いたのですが,私は「気は優しくて力持ち」の人間に憧れ,尊敬しております。「サウイフモノニ ワタシハナリタイ」のです。
ところで,昨年の12月31日に亡くなった元プロレスラーのストロング小林(本名:小林省三)の記事に遭遇しました。実は新年早々このことは知っており,いつかこのブログでも取り上げようと思っていたのでした。
それにしてもストロング小林の訃報記事のどれもこれも,彼の人柄を高く評価しており,それらを読んで私も感動を覚えました。彼こそ「気は優しくて力持ち」なのではないか。
プロレスラーとしての現役期間はそれほど長くはなかったし,若い世代にはバラエティー番組「風雲たけし城」にストロング金剛の芸名で出演していた人という記憶が辛うじて残っているくらいでしょう。しかし,ストロング小林も間違いなく昭和のプロレス界の巨人の一人だったと思います。例の「昭和の巌流島」と称されたアントニオ猪木との死闘はファンを熱狂させたようです(元祖「昭和の巌流島」は力道山と木村政彦の闘いですが)。アントニオ猪木とストロング小林の世紀の一戦があったその年の秋には,プロ野球の世界では私が少年時代から憧れていた長嶋茂雄が引退しております(1974年)。
さて,ストロング小林はいつも物静かで言葉づかいが丁寧で,職業こそプロレスラーですが決して争いを好まず,本当に心根が優しかったということです。いかつい体でリング上で暴れ回った雄姿からは想像もつかないほど優しい人だったようです。かつて国際プロレスのエースでその実力は折り紙つきでしたが,人間としての性質は優しさと穏やかさにあふれており,それを裏付けるエピソードは枚挙にいとまがありません。
本来は試合前には精神的に緊張し,ピリピリしているはずなのに,彼はとても優しくファンサービスを行い,恐る恐るあいさつした少年ファンに「おう,坊や,偉いな!」,リング上で花束を渡してくれる女性には「きれいなお花、ありがとう。」とお礼を言う。ちびっ子ファンには「おじさん、力が強いから、そっと握手するけど痛かったら言ってね」と声をかけていた。東京都の青梅市在住で,家族は本当に仲が良く,青梅線ではお年寄りに席を譲る等の姿も目撃されており,動物好きでいつも猫を数匹飼っており,それらはいずれも野良猫だったそうです(可哀そうだと思ったのでしょう。)。死の約2か月前,彼が妹さんにかけた最後の言葉は「猫の世話を頼むよ。」だった。こんな感じでその優しい人柄をしのばせるエピソードはとても多いのです。
改めてご冥福をお祈りたします。
話は変わりますが,私の同業者のある女性弁護士に,日本でも有数の総合商社から司法試験を受験して弁護士に転職した人がおります。いつも忙しそうにしておりますが,語弊を怖れずに言いますと費用度外視で依頼者のために一生懸命に法的サービスを提供しているようです。この方もいわば「気は優しくて力持ち」的な弁護活動をしていると思うのです。
ある時,私が冗談でその人に「ストロング小林!」と言ってしまったことがありました。彼女は何の事だか分からなかったと思いますが,その後ストロング小林を検索して調べたようです。私は決して外見が似ているという趣旨で言ったのではなく,「気は優しくて力持ち」の意味で述べたのです。誤解が解ければよいのですが(笑)。ただ,よくよく見ると顔もほんの少し似ているような・・・(笑)。