もう数か月前ですが,産経新聞の書評欄で「日本の民俗-暮らしと生業」(芳賀日出男著,角川ソフィア文庫)という本が紹介されており,それ以来何かしら気になっていたのでこのたび読んでみました。じっくりと日本の民俗に関する重厚な文章,記述に触れられると思っていましたら,内容的には写真集に近いものでした。確かに,著者の芳賀日出男さんは写真家なのであり,写真が中心となるのは当然でしょう。
でも,その一方で芳賀さんは,かつて学生として民俗学者折口信夫の講義を受講したこともあり,民俗学にも造詣が深いので,写真とともに記載されている文章もとても参考になります。最初は写真だらけだったので,「あれっ?」と思ったのですが,何よりも写真は直截的に人に訴えるものがあり,日本の民俗を伝えるにはむしろ格好の媒体ではないかと思いました。
「正月」,「盆行事」,「稲作」,「漁村の暮らし」,「海女」,「巫女」,「人形まわし」,「木地師」,「さまざまな生業」・・・などといった章立てで,どの写真も懐かしい風景ばかりです。私も幼少のころ2年ほど熊本県の田舎で暮らしたことがありますが,確かに当時熊本県の田舎でも寒い小正月の頃,五穀豊穣を祈って「もぐら打ち」という儀式がありました。本当に懐かしい・・・。子供たちが一軒一軒周り,「もぐら打ち」を行ってはお菓子などのご褒美をいただくというやつです。
私は昔から日本の民俗に興味があり,これまで柳田國男や宮本常一の著作を何冊か読んだことがありますが,このような写真集もまた格別の味がありますね。この本には,ヨーゼフ・クライナー(ボン大学名誉教授)の序文が掲載されており,「柳田・折口先生の言われる日本の民俗の固有性は、世界の民俗のなかに相対化されることによって、その独自性が一層浮彫りにされてくる。」との記載がありますが,同感です。
ちょうど先日,台風と台風の合間に仕事で2泊3日の行程で島根県まで行きました。台風のせいで収穫間際の稲が倒れている場景もありましたが,日本の原風景のような美しくも懐かしさのある風土を目の当たりにしました。この緑豊かな島根県に限らず,「限界集落」などといわず,何とか伝統と日本固有の習俗を維持し,この日本の美しい自然を保っていきたいものです。そして,仕事もちゃんとしましたが,仁多米や日本酒(玉鋼など)の美味しさを味わい,宍道湖の美しさと大和しじみの美味しさも味わいました。ありがたいことです。
日本の民俗に興味がありますが,そういえば,これも前々から読んでみたいと思っていた書物に「古風土記」というものがあります。これは奈良時代に地方の文化風土や地勢等を国ごとに記録編纂して,天皇に献上させた報告書ですが,写本ではあるものの,「出雲国風土記」がほぼ完本,「播磨国風土記」,「肥前国風土記」,「常陸国風土記」,「豊後国風土記」がそれぞれ一部欠損した状態で残っているそうです。今度ひまな時に読んでみたいと思っております。
それはもう突然に,私より18歳も若く,前途有望な弁護士の仲間の訃報に接しました。動揺し,適切な言葉も見い出すことができませんが,今はただただ,とても無念です。
私も毎朝出勤したら,初めにメールチェックをするのですが,弁護士会のメーリングリストで彼が急死したことを知りました。驚きとともに愕然とし,正に晴天の霹靂です。
かつて彼とは何年も一緒に仕事をしていましたので,縁浅からぬ仲です。仕事面においてもさることながら,夜は一献傾けながら四方山話に花を咲かせ,娘と一緒にご自宅に招かれていただいた奥様の手料理(餃子鍋)も本当に美味しかった。弁護士には珍しく,私と同じ保守的な思想の持ち主で,歴史認識,政治の話など酒を酌み交わしながら楽しく語ったものです。
急病の発症から4日目に鬼籍に入られたということなので,お見舞いなどのいとまもありません。私も精神的な動揺と空虚な気持ちを抱きながら,今はただしっかりとお別れだけはしようと,お通夜と告別式に参列させていただきました。
安らかな表情をした御遺体,そして奥様や3人のお子様のお姿を拝見した際には涙を禁じ得ませんでした。彼は仕事の面でも優秀でしたが,何よりも人に好かれるタイプで人望があり,弁護士会においてもその他の集まりにおいても要職に推されることが多く,彼はそれらを遺漏なくこなし,司法試験に合格する以前の人生を含め,とても密度の濃い人生だったと思います。
本当に印象深い彼との思い出は様々ありますが,今は私の胸の中にしまっておきます。それにしても,本当に無常というものを感じます。いつもと同じような日が当たり前のように毎日やってくると思っていてはいけない,一日一日を大切に生きなければと改めて痛感します。
「コノサカヅキヲ受ケテクレ ドウゾナミナミツガシテオクレ ハナニアラシノタトヘモアルゾ 『サヨナラ』ダケガ人生ダ」(井伏鱒二訳)
合掌
先週の土曜日,もちもちの豆大福を食べながら麻雀をしておりましたら,左下の歯の被せ物が取れてしまいました(笑)。もちもちのお餅の類とか,ガムとか,キャラメルとかは本当に油断がなりません。週明け早々に歯科の予約をし,1回の診療ですぐに直してもらいました。歯の被せ物が取れた時には,すぐに歯科に駆け込むに限ります。経験上,億劫になって時間が経ってから行きますと,成形のために歯を削られたりしますからね・・・。
さて,それにしても麻雀です。始めてまだ2年ほどですが,本当によくできた面白いゲームですね。感心いたします。中国共産党は,大,大,大っ嫌いですが,麻雀というゲームを作り上げた中国人は尊敬いたします。もっとも日本での麻雀は日本独自のルールに修正されているようですが。
そりゃ,20年も30年も麻雀をやっているようなベテランからしたら,現在の私の実力や知識は足元にも及ばないでしょうし,麻雀の奥深さや面白さに対する理解も同様でしょうが,初心者なりに徐々にその魅力,面白さを感じております。
将棋などは正に棋力の差が歴然とし,それが勝敗を分ける冷厳な世界ですが,麻雀の場合は「配牌7割」と言われるように,配牌やツモる牌の良し悪しが一局一局を左右することが多く,初心者でもトップに立つことができます。それも魅力です。
ツモる牌により微妙に,そして徐々に方針や戦術が変わってきますし,巡を追うごとに徐々にシュンツやコーツが揃っていく感じがワクワクします。始めて間がない頃は,何とか上がろうとすることに精一杯で,時には役がないのに「ロン上がり」をしようとしてチョンボになったりした辛い経験もありましたが,最近ではより点数の高い役を狙う余裕も徐々に出てきました。
それはそうと,私が属している「麻雀同好会」はずっと昔から,ある雀荘を例会の会場としていたのですが,先日その経営者であるママから閉店,廃業の悲しい告知がありました。麻雀もさることながら,いつもそのママが作ってくれる焼きそばもお目当てだったのですが・・・。そのママは,雀荘の経営者にしては何となく奥ゆかしく,優しい接客態度で,細身で昔は相当に美人だったのではないかと思っていましたのに,時代の流れなのかもしれませんが閉店,廃業ということのようです。本当にお名残り惜しい。
さて,麻雀・・・。私の趣味の一つになりつつありますが,ゲームの性質上,ボケ防止にもなるのではないでしょうか。うちのカミさんとは,「ボケたもん勝ち」などと冗談を言い合っておりますが,うちのカミさんにも麻雀を勧めてみようかしら。