ひと頃と比べますと,新型コロナウイルス感染者数も落ち着いてはおりますが,私が通っているピアノ教室恒例の,ピアノバーで飲食しながらの気楽な年末発表会は中止になり,昨年と同様,録画・YouTubeでの視聴形式となりました。
先日,その録画も無事に終了し,本当にほっとしております。幸い私の場合は,1回撮り直しただけで終了しましたが,生徒さんによっては何度も何度も撮り直しの方もいたそうです。
プロじゃないんだから気楽なもんでしょ,と言われそうですが,録画の時は本当に緊張しますよ。間違えたら撮り直しですもの。もちろん失敗したら失敗したで,失敗したままの発表をすれば良いのですが,やはりみんなが視聴しますからね(笑)。
昨年はバッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻第1番のプレリュードを選曲しましたが,今年はやはりバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」を選曲しました。もともとこの曲は,教会カンタータ第147番「心と口と行いと生活で」の中に入っている声楽曲ですが,あまりにも有名で人口に膾炙したこの曲をピアノ独奏用に編曲した楽譜を使用しました。
私が使用した楽譜は,初心者用の平易なものであり,20世紀前半に活躍した英国の女流ピアニストであるマイラ・ヘス編曲の本格的な楽譜ではありません。いやぁ,私の演奏の出来はともかくとして,バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」という曲は佳い曲ですね。
どうあれ,録画は終了しました。どうあれ・・・(笑)。それにしても思うのですが,本当にプロの演奏家は凄い。心からリスペクトしております。いくら時間をかけて日々練習をしていたとしても,実際のコンサート会場で演奏する際の緊張,プレッシャーには凄まじいものがあると思いますよ。やはり多くの聴衆の前でのミスタッチは嫌ですからね。その緊張,プレッシャーを克服して各回の演奏をそつなくこなすのですから,誠に素晴らしい。プロのピアニスト,もちろんやりがいのある職業でしょうが,私の場合はお気楽な趣味の範疇で良かった。
数日前の10月17日は「ピアノの詩人」フレデリック・フランソワ・ショパンの命日でした。1849年に39歳で亡くなっており,それから173年も経っているのですが,ショパンの名曲群は色あせることなく現代でも光り輝く存在で,愛聴され演奏されています。私の蔵書の一つに「フルトヴェングラーとの対話」(カルラ・ヘッカー著,薗田宗人訳,音楽之友社)という本がありますが,あの世界的に有名な名指揮者ヴィルヘルム・フルトヴェングラーはショパンのピアノ協奏曲の録音などないのですが,ショパンを特に高く評価していたそうです。この本には「バッハは旧約、ベートーヴェンは新約聖書、それ以外にあるのはただショパンだけです。」というくだりがあります。私の記憶に間違いがなければ,他の本にも,フルトヴェングラーは時間のある時,自らもバッハやショパンを自宅で弾いていたということです。
さしずめ今夜は,お酒と共に,ショパンでも聴きますか。
最近の私,ルイボスティーという飲み物にはまっております。抗酸化力が強く,亜鉛などのミネラルも豊富で,育毛にも効果があると言われているからです(笑)。
そのお気に入りのルイボスティーを飲みながらネットの記事を読んでいて,思わず噴き出しそうになりました。あまりの馬鹿馬鹿しさに噴き出しそうになった直後に,今度は怒りと情けなさで一杯になったのです。
どうやら政府・与党は,0~2歳児がいる家庭に一定額のクーポンを支給する事業を始める方針を固めたというのです(毎日新聞の報道によりますと,自治体が育児用品や子育て支援サービスを用意し,各家庭の希望に応じて1人当たり10万円分のクーポンと引き換える制度のようです。)。その背景として説明されているのは,我が国においては想定を上回るペースで少子化が加速しており,将来不安等から「産み控え」が起きているんだそうです。
でも皆さん,考えてもみてください。一過的に10万円のクーポンをもらったからといって,「じゃあ,産みます。」となるんでしょうか(爆笑)。仮に「産み控え」の実態があるとして,この10万円のクーポンでそれが解消されるとでもいうのでしょうか。それこそ典型的な弥縫策としか言いようがありません。
少子化の原因としては様々な指摘がありますが,特に1990年代の末から4半世紀近くも続いているデフレ,ほぼ横ばいの経済成長,賃金抑制などにより,何よりも結婚年齢に達した人たちが低賃金に喘ぎ,将来不安から結婚そのものそして結婚したとしても子作りを躊躇しているという由々しき現状が背景にあることは間違いないでしょう。
私が口に含んだルイボスティーを馬鹿馬鹿しさのあまり噴き出しそうになり,直後に怒りさえ覚えたのは,政治家ならもっと危機感をもって本腰を入れて少子化対策を推進しろ!ということなのです。能天気な政治家は,少子化で労働人口が減少して人手不足なら,外国から大量に移民を入れればよいではないかと安易に考えているのでしょうね。でもそうなれば,外国人労働者の激増によりますます賃金押し下げ圧力が強くなり,日本人の妙齢の男女の賃金が下がるか抑制されたままになり,ひいては結婚そのものや子作りを躊躇し,合計特殊出生率が低下していきます。そんな10万円のクーポンみたいな弥縫策ではなくて,ここはひとつ機能的財政の観点から大規模な財政出動や減税を躊躇せず,まずは果断にデフレを脱却し,賃金を上げ,若い男女に明るい将来を期待させるような環境作りをしましょうよ。本当に。
少し話題が逸れますが,ひょっとしてと思ったら,公明党の山口那津男代表が10月14日,首相官邸で岸田首相にクーポン支給を要請したとはっきり報道されています。案の定です(笑)。公明党という政党はいつもこうです。人気取り,刹那的な政策が大好きで,このような要請に対し,内閣支持率が30%を切ってしまった岸田内閣(不支持率は49%)が「(ちゃんと少子化対策や子育て支援を)やってます」感を出すために同調したなんてことでしょう。古代ローマ帝国の「パンとサーカス」(愚民化政策)を彷彿とさせます。政治家の劣化・・・。
本当に,少子化対策に本腰を入れないと大変なことになりますよ。
今住んでいるマンションは,いわゆるメゾネットタイプというやつで,1階と2階に分かれており,「折り返し階段」(7段ずつ,全部で14段)になっております。確かに,天井が吹き抜けになっており解放感があり,娘がまだ小学生の時にこのマンションの形状を珍しがって気に入ったこともあって購入しました。
でもその娘も今は独立して東京で一人暮らしをしており,年に3,4回帰省するくらいです。私たち老夫婦二人にとっては階段の上り下りも少し負担ですし,少し広すぎるきらいもあって最近では住み替えを考え始めております。
さて,マンションの住み替え計画の点はともかくとして,うちのカミさんは昔から朝早く起きて朝食を作ってくれています。本当に感謝,感謝です。カミさんは最近では台所で朝食を作る際にはYouTubeで音楽を聴いているのですが,私からの影響もあってクラシック音楽を適当に選択して聴いていることが多いです。毎日朝食は午前7時と決まっております。
その時間に合わせて7時ちょっと前に私が階段を下りてくる時は,いつも卵焼きを作っている工程の時です(笑)。毎朝,大抵はそうなっているのです。そして朝の挨拶を交わして私も配膳を手伝っています。
一昨日の朝でしたか,ちょうど私が階段を下りていた時に流れていたのが,リヒャルト・ワーグナーの「ジークフリート牧歌」でした。穏やかで味わいの深い佳い曲ですね。意識して選んだ訳ではないのでしょうが,カミさんがいつものとおり卵焼きを作っていた時に流れていたのがこの曲でした。学生時代にはヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏のこの曲のレコードを聴いていましたが,結婚する際にレコードは全部処分してしまいました。
この「ジークフリート牧歌」というのは,ワーグナーが愛妻のコジマ(フランツ・リストの娘)の誕生日及びクリスマスプレゼントとして作曲したものです。才能ある作曲家というのは凄いですね。妻へのプレゼントに自分で曲を作って贈るんですから。またこの曲の非公開初演の様子が素晴らしい。要するにサプライズだったのです。
早朝,まだコジマが眠っている最中に楽団員がその寝室から階段全体にかけてスタンバイし,階段頂上に陣取ったワーグナーが指揮を初めて静かに音楽の開始・・・。愛妻コジマが目覚めて,驚きとともに感激に浸ったことは言うまでもありません。
これは小編成の室内オーケストラで演奏される20分くらいの曲ですが,ワーグナーとしては,前年に息子ジークフリートを生んでくれた妻にねぎらいと感謝の気持を自らの音楽で示したのです。