いやー,先週はちょっとした嵐のような一週間でした。仕事は忙しかったし,何よりも健康診断でひっかかり,精密検査で一日入院するという憂き目に遭ったのです。僅か一日であっても,入院するなんてことはそれこそ20数年ぶりです。これは私にとって試練でしょうが,医師から紹介状を書いてもらって総合病院で新たに診察等を受ける必要が出てきました。
それはそれとして,私がつくづく思ったのは日本人として生まれてきて本当に良かったということ。医療保険制度の充実で,少ない自己負担で高度で安心できる医療が受けられますし,医師はもちろん,看護師さんたちの仕事ぶりには頭が下がりました。恐らくは多忙でストレスを感じていらっしゃるのでしょうが,対応は親切で責任感を持って的確に仕事をこなしております。ありがたいことです。職業倫理というものを感じます。職業倫理とは,プロフェッショナルとして期待される個人や組織の倫理的な行動基準をいいますが,彼らの行動や対応にはそれを感じました。
職業倫理というほどのことはありませんが,仕事で車を運転してある飲食店の前を通過する時,いつも気になっていることがあります。そのお店の建物前面の壁の上部に和歌らしきものが流麗な文字(白地に黒)で描かれているのです。よく読むと,次のような歌でした。
「わが役は どんな苦労もいとふまじ 天の作者の さしずがままに」
浅学菲才の自分なりにこの歌の意味を解釈してみますと,「自分のこの仕事 どんな苦労があったとしても嫌がって避けるようなことはしません それこそ私をこの世に送り出してくれた天の作者が 指図したことですから」
てなもんでしょうか。佳い歌だなと思います。インターネットで調べてみたのですが,どうやら有名な歌人の歌というのでもなさそうです。してみると,その店の経営者などが詠んだ個人的な歌なのかしらん。だとしたら素晴らしいし,きっとこの歌と同様,佳いお店なのでしょう。
陸上自衛隊の師団長など10人が乗ったヘリコプターが沖縄県の宮古島の周辺で消息を絶ってから4日が経ちますが,心配なことです。とても安否が気にかかりますし,有効な捜索を継続して欲しいと思います。
消息を絶ったその日,懸命な捜索が緒についたばかりの4月6日の夕方,記者団の取材に応じた岸田首相がその後に向かったのは,東京・銀座にある料亭「新ばし金田中」です。そこで森喜朗元首相が仕切った会食会場に顔を出し,錚々たる財界人らと飲食を共にしたと報道されています。当然のことながらこの会食をめぐっては,「事故の渦中にやることだったのか。」という批判が出ています。
内閣総理大臣は,自衛隊の最高指揮官です。このような批判が出るのも当然でしょう。しかも当該会食を取り仕切ったのが,例の「えひめ丸」沈没事故発生直後に首相として第一報を受けながら,その後も約1時間半にわたってゴルフプレーを続けて猛批判を浴びた森喜朗というのですから,これも何かの因果でしょうか。この事件は,2001年2月10日,ハワイ沖で日本の高校生の練習船が,アメリカ海軍の原子力潜水艦と衝突して沈没,日本人9名が死亡したという事件です。衝突によって日本人が多数海に投げ出されたことや,相手がアメリカ海軍であることも判明していたにもかかわらず(首相として報告を受けていたにもかかわらず),そのままゴルフプレーを続けたというのです。
そういえば,昨年8月4日,中国が日本の排他的経済水域の内側(日本側)に弾道ミサイル5発をぶち込む傍若無人の振る舞いをした時,岸田首相はすぐにはNSC(国家安全保障会議)を開催しませんでしたね。
いやはや,いずれも職業倫理の欠如と評価されても致し方ないでしょう。