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2024/01/24

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真夏以外はできるだけ徒歩通勤をしようと心掛けているのですが,今朝は本当に寒かったですね。ここ名古屋では予想最高気温が4度,最低気温は-1度です。よく手紙の冒頭の時候の挨拶で「厳寒のみぎり」なんていう文句を使いますが,今朝は正にそんな感じでした。午前中には雪が降り,傘を差していても徒歩通勤の私のコートには少し雪が積もりました。まあ,1月下旬といえば1年のうちで最も寒い時期と言われてもいますから,致し方ありませんね。

 

さて,愛読している産経新聞のコラム「産経抄」の切り抜きが机の近くに置いてあるのにふと気づきました。もう1か月以上も前のものですが,この日の「産経抄」の作者の意見に全く同意し,そこで取り上げられた出版妨害の暴挙に私も強く公憤を覚えたのを思い出しました。「焚書坑儒」は秦の始皇帝の時に限らず,少なくとも「焚書」は現代にも存在するのですね。

 

この日の「産経抄」の記載によれば,大手出版会社「KADOKAWA」は,昨年12月5日,本来であれば今年1月に予定していたアビゲイル・シュライアーの著書「あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇」の刊行中止を発表したのです。

 

このような事態に至った背景には,どういう勢力によるものなのかは知りませんが,出版前から多数の抗議が寄せられ,昨年12月6日(要するにこの前日に出版中止決定の発表を余儀なくされた)には同社の本社前での抗議集会の開催が告知(予告)されていたというのです。

 

でも,抗議活動などで特定の本の出版を中止させるようなことが許容されてもよいのですかね。憲法21条は出版その他一切の表現の自由を保障すると明記されているのですし,われわれ国民の知る権利もあります。しかも特定の個人の名誉やプライバシーを侵害する差し迫った危険のあった事案ではありません。明らかにおかしいと思います。

 

武蔵大学の千田有紀教授(家族社会学)はインターネットの産経ニュースで「出版社に抗議して委縮させるのは極めて卑怯な行為だ。」と指摘しています。また,ジャーナリストの佐々木俊尚さんもX(旧ツイッター)で「焚書が現代日本で。この判断に強く抗議します。」と訴えています。そういえば,昔,言論出版妨害事件というのがありましたよね。これは1960年代末から1970年代にかけて日本で発生した,宗教法人・創価学会と同団体を支持母体とする政党・公明党が自らに批判的な書籍の出版,流通を阻止するために著者,出版社,取次店,書店等に圧力をかけて妨害した事件です(この事件の顛末はウィキペディアなどに詳しく書かれています。)。

 

それにしても今回出版中止に追い込まれた本は,10か国語に翻訳され,イギリスのタイムズ紙やエコノミスト誌で「年間ベストブック」に選ばれたベストセラーです。是非読んでみたいものですが,何分私は日本語以外は苦手なのです。

 

今回日本での出版中止に追い込まれてしまったこの本(アビゲイル・シュライアー著「あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇」)と同じ問題意識に立つと思われる本に,「大衆の狂気-ジェンダー 人種 アイデンティティ」(ダグラス・マレー著,山田美明訳,徳間書店)があります。以前このブログでもご紹介しました。行き過ぎた多様性主張,過剰なリベラリズムに警鐘を鳴らすという意味で,これは素晴らしい名著です。この本に対する賛辞は数多くあるのですが,そのうちの一つをご紹介しましょう。

 

「マレーは、疑念の種をまき散らす社会的公正運動の矛盾に切り込み、大衆の九五パーセントがそう思いながらも怖くて口に出せないでいたことを雄弁に語っている。必読書だ」(ナショナル・ポスト紙(カナダ)

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