台風18号,今回の台風は非常に手強かった。僕が天気図上ではじめてこの台風を目にしたのは,今から数日前で,まだ日本からはるか南海上にあった。ところが,その時の中心気圧が915ヘクトパスカルだったから,内心「こりゃー凄いな。」と思った。この台風が日本に上陸することがあるとすると,その時点でも相当の勢力を維持しているだろうと直感したのである。
僕は名古屋市内に住んでいるが,ちょうど今朝の明け方が暴風雨のピークだった。相当の迫力で,室内にいても恐怖を感じるくらいだった。それでも何とか通勤する時間帯には風も治まり,歩いて職場まで行くことが出来た。
その道すがら,台風が過ぎ去った後の街の様子をつぶさに観察してきた。路上には,木の枝,まだ青い葉っぱ,枯れ葉,花びら,木の実などが散乱していた。行く先々で,集合住宅や共同店舗の前では,複数の人達が協力し合いながら箒で掃除をしていたし,一軒家の前でも初老のご婦人がやはり丁寧に掃き出しをし,鉢植えの手入れなどをしていた。本当に日本人というのはきれい好きであり,街の美観をいつも考え,花や樹木などの自然をいたわり愛でる民族なのだなと思った。
台風などによる暴風を古典的な表現で「野分(のわき)」,「野分け(のわけ)」というが,徒然草の第十九段(折節の移りかはるこそ)には,次のような表現がある。
「また野分(のわき)の朝(あした)こそをかしけれ。」
その大意は,「また,台風が過ぎた翌朝の景色はとても興味深いものだ。」というものだ。今朝の通勤途上でこのことを実感した。ただ,僕がこのブログを書いている時点ではまだ件の台風が日本列島を縦断中である。その進路上にある地方の方々の無事を心からお祈りしている。